第23話 29番日誌23-2
―― 7月○日 晴れ ――
てっきり個別に呼び出されると思っていたから、赤点をとった生徒たち――2組からは誰もいなかったけれど、1組に2人、3から6人が呼ばれた――が学年集会で檀上に上げられて、これから補習が始まるという。 委員長とBグループの風紀委員が前に並んでいて、何だか様子が違うとは思っていたけれど、補習のことを知らされた時はビックリした。 基本的に私たちがこれまでに受けた補習は密室で、他がどうなっているか分からなかったし、どんなことになるか誰も教えてくれない。 だから一層怖くて、みんな少しでも自分が補習を受ける時に備えて、些細なことでもいいから知りたがる。 補習から帰ってきたら例外なく質問攻めに遭う所以だ。
『何があっても声を出さないこと。 動かないこと』と言い含められた上で、目隠し、ボールギャグ、手足枷、耳栓をつけて四つん這いになる。 窓枠みたいな『鉄の枠』を潜って、こちらにお尻を向ける。 枠からは伸びた『フック』をお尻に噛ませ、アナルが剝きだしになるように谷間を拡げた。 みんな飴色の皺がよっていて、何が起きるか分からない恐怖で、ギュムときつく窄まっていた。
風紀委員が1つずつバケツをとってくる。 中には真っ赤に灼けた石が入っていて、多分石炭だと思う。 その中に鉄の『焼き鏝』が2本入っていた。 太い鏝に描いてある文字は、風紀委員長によると『愚』の一文字だそうだ。 きちんと授業を受けた結果を発揮できない愚かさを排泄の度に意識できるよう、アナルに『愚』の一文字を焼き印する。 私達の肌は、浅い焼き印であれば、時間が経てば元通りになるらしい。 ただ、アナルの新陳代謝にも寄るけれど、少なくともひと夏は消えることがないそうだ。 細い方の鏝には『一』の文字があって、これは欠点科目が2つ以上な場合、その数だけアナルの上に『正』の字型に印をつけるためだった。 だから、例えば6科目赤点があった時は、アナルの上に『愚』を入れられた上で、更にアナルのすぐ上に黒い『正』の字が焼き印されることになる。 補習を受ける最中は、悲鳴はもちろん動くのも禁止。 あくまでも『補習をしていただく』感謝を示す場でもあるから、身じろぎすら許されない。 まあ、こんなのは建前で、そうはいっても、どんなに声を押し殺そうとしても、焼き鏝を受けて呼吸を乱さず耐えられる生徒はそうそういないから、声については『ボールギャグ』で封じてくれる。 姿勢についても鉄枠である程度は抑えてくれている。 焼き鏝をギュッと押しつけられる数十秒の間、お尻をジッと焼き鏝に晒し続けられれば補習終了。 一方でお尻を振ってしまったり、身体を引いてしまったり、とにかくお尻のフックが外れてアナルが隠れてしまえば、アナル以外の場所を火傷した上で『再チャレンジ』だ。 きちんと意図した通りの焼き鏝が押されるまで、何度でも何度でも焼き印が繰り返される。
一連の説明は、指導を眺める私達向けに、風紀委員長が話してくれた。 補習を受けることになっている肝心の生徒達は、目も耳も塞がれたまま檀上でお尻を突きだしているわけで、これから自分達がどうされるのか分からないまま。 どのお尻も小刻みに震えていて、見ている私達まで寒気がした。 でも、風紀委員長が『目を逸らした生徒にも罰を与える』っていうから、目を閉じるわけにもいかない。 私は、多分数学の成績が45点くらいだ。 もしもあと少し悪ければ、お尻に焼き印を押される羽目になっていた。 学園の成績は進級に影響するのは知っていたけれど、生徒会主導でこんな罰まであるなんて……気を抜けるところがどこにもない。
それからはさながら地獄だった。 いきなりアナルに焼き印を押されて、完全にジッと出来る生徒がいるわけがない。 8名の補習受講者は、みんな多かれ少なかれ身体を痙攣させ、くぐもった悲鳴が体育館に響いた。 合わせて『正』の字型に印をつけられているうちに、結果的に半分の4人からお尻のフックが外れてしまう。 明らかに暴れてしまった子もいれば、特に激しくお尻を振った訳じゃないのに外れてしまった運が悪い子もいた。 どちらにしても『やり直し』だ。 運よく耐えきった子たちは、次第に腫れて赤味を増してゆくアナルを、痛みに耐えながら懸命にジッと晒している。 その隣では、腫れたせいで一層敏感になった患部に、さらなる焼き鏝を受ける子たちだ。 動くまいと思っても身体が勝手に動くんだろう、やっぱり半分の2人は、耐えきれずに焼き鏝から逃げてしまい、あとちょっとの所でアナルからフックが外れてしまった。
これでまたやり直しだ。 みんな固唾を飲んで見守っていたから、外れた瞬間は声にならない悲鳴がでる。 2人とも4回目の焼き鏝で気絶してしまい、四つん這いすら維持できなくて、その場に崩れ落ちてしまった。 当然お尻からフックが外れて、焼き鏝は失敗。 どうなるんだろうと見ていたら、結局風紀委員が2人をどこかに連れて行ってしまった。 『定期考査で恥ずかしくない点数を取るよう』『風紀を守り、牝らしく、慎み深く振舞うこと』といった話が風紀委員長からあって、2人が戻ってこないまま学年集会は閉会した。
自分が焼き鏝を押された訳じゃないけれど、一日中アナルがヒリヒリしっぱなしでした……。