第8話 29番日誌G-1
〜 29番の日常 〜
―― 5月○日 うす曇り ――
パッとしな天気が続くと、体育も授業も気がのらない。 もっとも、気分がでないからって手を抜いたらとんでもないことになるのは分かってるから、それなりに一生懸命取り組んでる。 ただ、やっぱり心の何処かでグダッちゃうっていうか、そんな感じ。
こういう日は、みんな教室の外にでようとしない。 ってことで『友達』――クラスメイトだと白々しいし、『私たちって友達だよね』と聞いたら、多分みんな頷いてくれると思う――と色々お喋りした。
部活のこと。
顧問教官のこと。
学園生活の工夫。
寮生活にありがちなこと。
寮の先輩のこと。
各種噂話、エトセトラ、エトセトラ……。
知らないことがいっぱいあって、聞くのも話すのもすっごく楽しい。
昼休みがこんなに短かったのは久しぶりだった。
(ところで、私達が喋ってることって、教官は聞いてたりするんですか? 『CCカメラ』や『CCレコーダー』が学園の彼方此方にあって、全部録画されてるのは知ってます。 以前教官が『休み時間に制限はかけない』とか『休み時間の教室で起きたことは指導の対象にならない』って言ったのを信じて、私達、かなり好き勝手にお喋りしちゃいました。 流石に喧嘩とか悪巧みみたいなことはしてませんけど、その、教官の噂話なんかはしてたりします。 これってマズイでしょうかね? 教えてくれませんか?)
―― 5月○日 今日も小雨 ――
先日はコメント頂き、ありがとうございました。 お喋りは自由っていってくれて、すっごく嬉しいです! もちろん節度は守ります。 それと、友達同士のお喋りは、教官がおっしゃったように、教室の中だけにします。 お喋りに相応しい場とそうでない場は、ちゃんと考えなくちゃいけませんよね。
どんなことを話してるか、時々この日誌で報告します。 もしNGがあれば教えてください。 どっちみち録音されてるんだから必要ないかもしれませんが、一応微妙な話題は書くようにします。
最近よく話すのは【2番】さんだ。 美人で、スタイルがよくて、しかも賢いから手に負えない。 特に暗記系はクラスで断トツによくできる。 でも【2番】さんは私のことを『すごい』とか『かっこいい』って褒めてくれて、色々話しかけてくれる。
今日は1組の話で盛り上がった。 1組は『朝の気合』っていって、朝のHRで必ず『自分で自分を叩く』時間があるそうだ。 平手で頬っぺたやお尻、おっぱいやオマンコを『いい音』が出るまで叩く。 『いい音』っていうのは、大きくて、パァンッていう感じの張りがある音。 教室は完全防音だから、隣のクラスの様子は知らなかったけど、毎朝そんなことしてたらしい。
他にも色々決め事があって、1組担任の12号教官を『御主人様』と呼ばなくちゃいけないとか、12号教官に身体を触られたら即座に全身を勃起――つまりクリトリスと両方の乳首――させるとか、『脱糞』といわれたらいつでもその場で5秒以内に排泄しなくちゃいけないとか……隣のクラスのことながら、うわぁ〜って感じのルールがオンパレード。
中でも一番引いたルールが、トチったクラスメイトがいたら連帯責任で全員が指導を受けるんだけど、その後でトチった子にクラス全員で『気合』を入れるっていう決まりだ。 で、気合っていうのは、ビンタだったり肘鉄、膝蹴りだったりする。 これって、早い話が失敗したコを全員で虐めるのと同じだよ。 2組でも連帯責任はあるし、失敗したら友達に迷惑がかかることもしょっちゅうだけど、でも、迷惑をかけた友達から蹴られたり叩かれたりした記憶はない。 失敗したら全員から苛められるクラスなんて……そんなの嫌だ。 苛められるのも、苛めるのも、どっちもイヤ。
(ついでにいうと、1組は教室内は私語厳禁らしいです。 2号教官はどう思います? 休み時間になってもみんな黙ったまんまだから、お通夜みたいに静かだそうで……個人的には、学園ぽくはあるけど、ちょっとどうかなぁって思うんですけど……。 まあ、私も1組にいたら慣れちゃうのかもしれません。 でも、みんなと話せる方が絶対良いですよ。 最初の1週間は限界ギリギリでしたけど、とりあえず今は2組に入れて良かった、って思ってます)