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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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孫を頼む!-3

辺りでは楽しそうに子供たちが走り回り、ステージでショーも行われていて賑やかに盛り上がっている、けどそれに相反し私たちは…。

「…ホントゴメンねうちのお爺ちゃん、普段は明るくて私の事を本気で幸せにしてあげようとしてくれる良い人なんだけど、店と私の事となると…。」
「そんな、元はと言えば僕が変な事言い出したせいであんな。」
「ううん、風馬君はただ親切であぁ言っただけじゃない、店を継ぐのだって将来は。」

本人はただ親切で言ったりやったりしてもそれが相手に上手く伝わるとは限らない。

「でも本当にあの店どうなるの?」
「うーん、お爺ちゃんが引退して、ひとまずは娘のお母さんが継ぐって話。」
「え、でもおばさんって。」
「どうやら正式にここに引っ越したそうよ、出戻りとも言えるけど、仕事も辞めてここで新しい勤め先を探しているみたいで。」
「そっかー、でも失礼かもしれないし僕が言うのも可笑しいけど経営能力あるの?」
「正直言ってないわ、幾ら青果店の子供でお母さんが小さい頃よく店を手伝っていたからってそんな簡単な事では。」
「…そう、そうだよね。」

暗い顔で地面に視線を落とす、自分が店を継ぐ…何て軽い事口にした事を後悔してるな。

「大丈夫だよ!確かに店を経営する…何て今は不可能な話でも勉強すれば。」
「でも。」
「勿論勉強すりゃー良いって訳じゃないけど、でもいずれかは…。」

本当にいずれかね、その前にお母さんが店を継ぐのでしょう。

「とは言ってもお爺ちゃん、娘であるお母さんでも店を任せるのは不安だって。」
「そうだよね、それ以前に普通に仲が良い訳ではないよね、昔君を置いて家を出て、経営よりも先におばさんと僕を受け入れてくれないと。」

確かに、やっぱ風馬君は頭が柔らかい気がする。

「そうね、他に選択肢もあるのよ、店を彼の代で終えるか、組合から誰か信頼出来る人を紹介してもらうとか。」

嘗てお父さんにこの店を継いで欲しいとせがんだ事もあったらしく。

「でもそれも難しいのよ、あの店はお爺ちゃん曰く大正時代に創業された店で、そう簡単に代を終わらせ潰したくないって言うし、頼みの組合からの商売に十分精通してる後継者の人も他の新しい売り上げに見込みのある店に取られてるらしくて…。」
「僕は勿論、おばさんだって商売に関してはほぼど素人。」
「うん…。」

いやはやどうしょうもないな…。

「でもその大概はお爺ちゃんのプライドから来てるよね、店を続けたいだの、娘や孫の彼氏なんかに継がせたくないだの…。」
「彼の気持ちは分からないでもないよ、店は大正時代って凄いし彼一人の問題じゃないよ彼の親、そのまた親と先祖代々続いて、僕もおばさんも経験不足なのは事実だし。」
「そりゃそうだけど。」

気が付けば楽しくお爺ちゃんの店を手伝い後でお祭りを楽しむっていう趣旨が完全に消え去り、まだ社会のしゃ文字も知らない若い私たちが大人の経営に真剣に議論していた。

「なーに子供が大人のやる事に熱くなってるの?」
「お母さん!」

自宅青果店を整え、応援に駆け付けた母がやってきて。

「あの店、それとお父さんの事は私達大人がどうにかするから。」
「でも…私だってあの店を手伝ってる言わば関係者よ?…余計なお節介かもしれないし何も知らない子供が横槍入れるものではないかもしれないけど、それでも!私はお爺ちゃんの事が大好きだし、育ててくれた恩を返したいし…。」
「若葉……、分かったから彼とお祭りを楽しんでらっしゃい。」
「お母さん…。」
「…行こう、若葉ちゃん、それじゃおばさん。」
「ありがと。」



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