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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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孫を頼む!-2

「有難う御座いました!」

売り上げはまぁまぁのようだ、とはいえお爺ちゃんのノルマ達成まではまだまだだ。

「うーん、まずまずの売り上げだな。」
「そうだね、これ全部売りたいんでしょ?」
「全部とはいかんだろうけど、出来ればな。」

こうみえて赤字すれすれなのだ。

「大丈夫ですよ、売れ残ったら僕がいくつか買い取るので。」
「ならん!お客さんに好き好まれて買われて言って欲しい!」
「お爺ちゃん…。」

商売人としてのプライドか。

「増して君は孫の……親友なんじゃろ?そんな事されたら夜な夜な足を向けて寝れん。」

歳よりの言動に時より理解が苦しむ、要するに彼に悪いと思ってる訳だ。それにしても親友って、お爺ちゃんだって分かってる筈なのに、あえて通まわしな。

「そんな事気にしないで下さい、僕だってお爺さんを少しでも助けたいし。」
「…そりゃどーゆー意味じゃ?」

あれ、何か雲行きが悪い?急に声のトーンが落ちて。

「だって彼方は僕の若葉ちゃんをここまで育ててくれた人ですから。」
「……。」

純粋に感謝の言葉を述べる彼にどんどん眉間の皺がこわばるお爺ちゃん。

「だから、ひょっとしたら将来…。」
「将来、なんだっていうんじゃ!!」
「っ!」

いきなり怒鳴り出す、風馬君も目を丸くし、肩をすくませる。

「なんじゃさっきからその言い草!…まるで将来おぬしとうちの孫が結ばれてこの店を経営していくような言い方だな。」
「それは、だって。」
「アンタに経営の商売の何が分かる?ちょっとパン屋でバイトしているくらいで思い上がるのも良い所だろ!」
「……。」
「そもそもなんでアンタに同情されて売り物を買い取ってもらわなきゃならん!?第一まだ
売れ残ると決まった訳じゃなかろうに。」
「お、お父さん、そんなつもりじゃ…。」
「誰がお父さんじゃ、アンタはわしを馬鹿にしてるんだろ!こんな老いぼれもう経営何て無理だ、この祭りだって失敗するに決まってる…となっ!」
「だからそんなつもりは。」

変に意地っ張りな所は本当に嫌だ!要するに自分より遥か若い彼に情けを掛けられるのが気に入らないだけでしょうが…。

私は堪忍の尾が切れて口出しする。

「何?ちょっといい加減にしてよ…、彼はただ手伝ってあげようと。」
「そんなん頼んでない、買い取ってやるとか大きなお世話だ!」
「御免なさい…。」

お爺ちゃんの激怒に小さくなり出す彼。

「それに彼はこの先祖代々続いたこの店を継ごうと抜かすんだぞ?大した知識も経験もない癖に。」
「確かに行き成り大袈裟だったかもしれないけど、でも現実問題ゆくゆくはそうなるんじゃない?」
「たわけっ!わしはこの店をずっと護っていく死んだ婆さんに誓ったんだ。」
「何よその子供じみた言い方、たわけてるのはそっちでしょ!ずっとってお爺ちゃんどっかで修行でもして不老不死にでもなるつもり?…そんなのできっこないでしょ!お爺ちゃんはお爺ちゃんでしょ!?幾ら意地張ったってもう歳何だし、無茶してまた病院へ搬送何てもうやめてよ!私凄い心配したんだから!!」
「さっきも重たい箱運んで腰傷んでた、僕が一人で運ぶって言ったのに…。」
「お母さんだって後で応援に駆け付けるから、だから。」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさぁーーーいっ!!だぁーもう!お前らと居ると商売の気が散る、どっか別の売店でも回ってこいっ!」
「なぁーによ!都合悪くなって、私たちは。」
「分かりました!行こう、若葉ちゃん。」
「ちょ!」

彼は空気を察し、怒り肩が納まらない私を半ば強引に別の所へ連れていく。


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