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【その他 恋愛小説】

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3-5

「曽根さん……」


コツン、と彼女の頭が俺の胸の辺りにもたれかかる。


シャンプーのいい匂いは俺の使ってるソレとは違って、とても華やかで甘い匂い。


女の子って、なんでこんなにいい匂いがするんだろう。


小さくて、か弱くて、守ってあげたくなる。


スンスンと小さくすすり泣く彼女の頭を優しく撫でながら、俺はこの娘を大切にしようと、心の中で誓った。







「曽根〜、もう諦めろよ」


俺のベッドで肘を立てて寝そべりながら、呆れたように言うのは、友人の前田だ。


奴の視線の先にあるのは、さっきから何度も同じ動作を繰り返す俺の背中。


でも、俺にはそんな前田の言葉なんてまるで耳に入らず、ただひたすらにスマホを弄っていた。


おかしい、おかしい、おかしい。


画面には、結衣さんの携帯番号。


そして俺はまたしても発信ボタンをタップする。


だけど、スマホから聞こえて来るのは「お客様のおかけになった番号は、電波の届かない場所におられるか……」という聞き飽きたフレーズ。


それを途中で切って、また発信する、そんな動作の繰り返しだった。


あの、結衣さんからの逆ナンによる出会いから早2週間。ずっとこの調子なのだ。


ラブホで一夜を過ごしたあの日から。


あの夜は、もちろん疚しいことなんて一切なくて、二人で食べ物を注文しながら、寝る間を惜しんでおしゃべりに花を咲かせた。


結衣さんはその時もたくさん笑ってくれたし、俺もたくさん笑った。


時々カラオケもしたりして、俺の音痴も明るく笑い飛ばしてくれた結衣さん。


二人が眠りについたのは明け方で、それまでとても楽しい時間を過ごせたと思っている。


そんな充実した時間を過ごした俺は、満足したのか相当深い眠りについていたのだろう、次に目を覚ましたのがお昼近くになっていたのだ。


そして、俺は起きてすぐ異変に気付く事になる。


部屋に俺以外の人の気配が無くなっていたのだ。


そう、結衣さんの姿が消えていた。


ホテル代の1万円だけを残して。






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