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【その他 恋愛小説】

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1-3

そんな前田を見ていたら、ふと疑問が湧き上がる。


「なあ、前田」


「あー?」


「そういうヤバい目に合ってるってのに、それでも懲りずにまたナンパしようとか考えてんの?」


すると前田は、ひなたぼっこしている猫からいつものイケメンへと進化を始めた。


俺を見るその顔はいかにも、「愚問だな」と言いたげなニヤニヤ顔。


でも、俺は本当に理解できないんだ。


「そもそも、あまり知らない女とよくその日のうちにヤれるよなー。怖くねえの?」


得体のしれない女の身体を触るなんて真似、やや潔癖な所がある俺からしたら、常軌を逸する行為である。


だって、性病とか持ってるかもわからないし、第一、よく知らない女のションベンするような所、いくらシャワーを浴びるとしても、触りたくもねえ。


だけど前田は、


「バーカ、そんなのいちいち気にしてられっかよ」


とケラケラ笑うだけ。


「だって、知らない女だぞ。気持ち悪いじゃん」


「だから身体でよく知らなきゃ。それにカワイイ娘なら気持ち悪いなんて思わねえよ。カワイイは正義だ」


確かに、俺の好きなアイドルとかが目の前にいたらヤりたいって思うし、そういうカワイイ娘をオカズにすることはよくあるけれど、やっぱり実際その場にいたらナンパなんてしないと思う。


深い仲になるのなら、やっぱり信頼関係は絶対必要だと思うんだけどな。


前田の言ってることが理解できなくて眉を潜めて考えている俺に、ヤツはさらに続けた。


「だって、時間をかけて相手を知ろうと思ったって、どうせ全てを知ることなんてできるわけねえし。とりあえず後腐れなく楽しめればいいんじゃん?」


「相手が変な病気持ってたらとか考えねえの?」


「そんなん考えてたらキリねーよ。そんなんよく知った間柄だって隠すやつは隠すんだし、心配するだけ無駄無駄」


結局、俺と考え方が正反対な前田は、これからもナンパを続けるようで、たまたま窓の外を歩く女の子を見ては「お、あの娘なかなかいいじゃん」とはしゃいだりしていて、さっきの悩みなんてキレイに消え去っているようだった。







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