第四章 漂着した恋人-16
「ふふっ……どおして? ママなんでしょ?」
そう言った土橋は男茎を倒し、腰を突き出すと、肉槌の頭を膨らみに押し付けた。
テーブルの上に縛られた時も、同じことをされた。あの時は仰向けに四肢を拘束され、避けたくても避けられなかった。だが今は、首元で握ったワンピースから手を離せば振り払うことができる。
「んぁ……」
しかし、土橋がムニュリ、ムニュリとブラカップを力強く凹ませて先端を押し付けてきても、涼子の手は裾から離れず、熱い溜息をついて身を捩っただけだった。
「ああ、気持ちいいよ、ママのオッパイ……」
「あんっ……!」
涼子が思わず声を若返らせると、土橋がそのポイントへ重点的に先端を押し付けてきた。
(あぁっ……で、出ちゃう……)
バストを男茎の慰み物にされて、体の奥から漏れそうになる蜜を留めようとするのだが、土橋が狙うポイントは――凹んだブラカップの裏地が擦れてくるのは、硬突してしまった乳首だった。鋭敏になった乳首が突かれ、弾かれると、膝を揃えた脚が床から浮いて背筋が伸びる。
もどかしい感触が涼子の両方のバストの先へまんべんなく襲ってきて、もうどれだけ我慢しても、女の分泌を抑えることはできなかった。
男茎は涼子のバストに十分な期待感を培ったのち、、キャミソールの谷へと縦に沿わされてきた。
「あ……」
「ダメだよ、ママ」
とっさに手を下げようとした涼子を、相変わらず子供の真似を続ける土橋が即座に制した。「ジッとしててぇ……」
土橋は下から掬い上げるように膨らみを手のひらに乗せると、そのままキャミソールごと男茎を挟ませた。
「あふっ……」
中に取り付けられたブラカップは、外側は包み込んで支えているが、内側は布地が切れ込んでいる。つまり土橋の男茎と胸乳の肌の間にはキャミソールの薄い布地しかなく、その硬さと熱さを如実に感じさせた。
肉幹を包み込んだバストが上下に揺らされ始める。
涼子の腰がまた跳ねた。傘が一度バストの内側を抉って顎のすぐ下まで抜けてくるごとに、腰を震わせて蜜を迸った。
「ほら、ママ、パイズリ気持ちいい?」
耳の先まで赤くなっているのだから誤魔化しようがないのに、涼子は懸命に首を横に振った。いや正しくは、振ろうとした。しかしその瞬間、ピュッと噴き出した透明のしぶきが顎にかかると……、縦に、首を振ってしまっていた。
「やっぱりママってパイズリで感じちゃうんだぁ? じゃ、こんな服越しじゃなくて、直接挟んだほうがいいんじゃない?」
「……あ、……んく……」
灼きゴテのような男茎。なぜキャミソールなんて着ていいるのか。
頭の片隅にそんな疑問が湧いて涼子は慄然とした。一瞬俊介のことを忘れてしまった。
母親としての自覚を取り戻さなければ、思い直した瞬間、またしぶきが飛んで浴びせかけられた。喉をトロトロと垂れてくる。胸乳を往来している男茎はあまりに熱い。
「ああっ!」
ソファに凭れたまま天井を仰いだが、
「ママ」
そう呼びかけられて目線を下げていくと、醜い顔で腰を振る土橋が視界にせり上がってきた。
こんな中年男がさっきからママ、ママと言い続けているのだ。こんな奴の母になった憶えは全くない。
「ほら、ママ」
まやかしの息子に顎で促され、思わず目線を向けた先には、「オチンチンの穴、見えるでしょ?」
キャミソールの肉の狭間に、繰り返し前にせり出している鈴口があった。目を合わせるや、その鳴口からプシュッとしぶきが飛んで、唇の周りに撒かれた。
「うああっ!」
我慢汁とはいえ強い精臭を十分に含んでいたから、熱さの直後に臭さが鼻腔を襲ってきて、涼子は思わず顔を逸らそうとしたが、
「だめっ、自分のパイズリしてるとこ、見るんだよ? ママ」
子役なのに悍ましい命令が聞こえて、首を動かせない。そこへプシュッ、プシュッ……、と何度もしぶきが飛んでくる。固く結んだ唇を少しでも緩めれば、より濃厚な味と臭いが覚知できるだろう。
「ほら、ママぁ……生パイズリしようよぉ。ね? ママのGカップでもっとオチンチン、気持ちよくしたいよぉ……」
「はうっ……」
頬まで飛んでくる我慢汁が、何条にもわたって首筋を垂れ落ちてきていた。
(俊くん……)
寂しさに耐えて兄の家で我慢して待ってくれている? いや、郁夫とゲームをして、忘れちゃってるかも。
……その方がいいわ。
「涼子」
急に名を呼ばれて目を見開いた。
「……」
「お前は今は、スケベ奴隷だぞ? スケベ女だ。たとえ子供がいても、気持ちよくなっていい。そうだよな?」
大人に戻った土橋に低い声とともに、もう一度鼻先までしぶきを浴びた涼子は、鼻腔に入り込んでくる精臭に脳髄が痺れ、意識から俊介が消えてた。
「ああっ、ちょ、直接……、い、いえ。な、生! な、生パイズリするっ!」
叫びに近い声で言うと、首元でとどめていたワンピースを頭から抜き取り、束ねた髪を払いながら側に打ち捨てた。