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なりすました姦辱
【ファンタジー 官能小説】

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第三章 制裁されたハーフモデル-13

 真璃沙はそれを聞いて、決意を新たにしたのだった。
 暫くは事務所が契約している渋谷のスタジオに通い、モデルになるにあたっての基本所作のレッスンを受けることになった。読者モデルを務めていたとはいえイベント出演の経験はない。ランウェイを颯爽と行くあの独特の歩き方は、見よう見真似でできるものではなかった。歩き方はだけではない、立ち方や座り方、そして話し方まで、すべての所作にレッスンがある。
 プロ。その言葉はやはり生半可ではなかった。
 しかし真璃沙はそれで怖気づくことはなかった。高校の時は億劫だった早起きも全く苦にならない。
 渋谷に向かう電車は数本に一本は始発が来るから、女性専用車両もあるが特に乗る扉を選ばずに乗っていた。都区内中心に近づくに連れて混んでいくが、少し我慢していれば、渋谷が近づくにつれて再び空いてくる。
 座ろうと思えば座れたが、真璃沙は車両の中ほどに立って吊革を手に持ち、腹筋に心持ち力を入れて背筋を伸ばして立っていた。電車の中でもこうやって体を鍛えることができる。そう教わって、毎日実践していた。それに座っていると、万が一網棚から物を落とされた時には脚を直撃してしまう。商売道具になった身体には、どんな小さな擦り傷、痣も許されない。
 スマホでファッション系の情報サイトやブログを見ていた。流行が支える世界だから自分の趣味ではなくとも、業界に身を置く者の常識として最新情報は頭に入れておかなければならない。
 しかしさすがに、あまり興味のない系統は、読んでいてもなかなか頭に入ってこなかった。
(学校でもうちょっと真面目に勉強してたら憶えられたのかなぁ)
 そんな後悔をしながら、それでも真面目に読み進めていた。
(っ……!)
 真璃沙は異変に気づいた。背後から何か当たってるな、と思って、擦り傷をつけられないよう小さく足踏みして身を離したが、少しするとまた当たった。正面の黒い窓を見たが、両隣は女性、背後に立つ人々は皆自分に対して背中を向けていた。
(手だ……)
 人々の体が影になって誰のものかは分からなかったが、確かに太ももに触れているのは鞄や荷物ではない、人の手、おそらくは甲だった。
(もしかして、また……?)
 少し前のトラブルを思い出した。だがあの時は――どうやら犯人を間違ってしまったらしい。しかも高校時代の先生にも見られて恥ずかしい思いをした。
 真璃沙が強い抵抗をしてこないと確信したのか、手は電車の揺れを利用して、スッ、スッと何度も擦り付けられてきた。しかもだんだん太ももを遡って、デニムミニの裾際辺りまで及んだ。
 脚肌を走る悪寒が強まっていいく。
(くそ……)
 手の甲だと、たまたま当たっていただけだと言われる。いや、それ以前に犯人を特定しなければ。今度は人違いをすることなく、卑劣な行為の決定的な証拠を押さえる必要がある。
 真璃沙はハッとなった。
 そんなことをしてはいけない。まだまだプロ意識が足りないと反省された。
 もう自分はプロダクション所属なのだ。駆け出しだが、看板を背負っている。事務所からも、まずは名を上げろと言われたばかりではないか。トラブルなどもっての外だ。
 悔しいが、何とかやり過ごすしかない。次の駅で一旦降りよう。
 真璃沙がドア上の表示ランプに目を向けて、早く着いてくれと願っていると、
(ううっ!)
 突然手が裏返った。手のひらがピッタリと真璃沙の脚肌に押し当てられ、もう絶対に偶然だとは言えない手つきで緩やかに撫で回してくる。だんだんとデニムミニの裾が持ち上げられ、下着のラインにギリギリまで迫ってきた。
 あまりの寒気に吊革を持ったまま身を捻らせ、声を出しそうになった。
 一言「助けて」と言ったほうがいいかもしれない。そう思った時――
「はい、そこまで」
 いきなり手が離れていった。
 斜め後ろに立っていたスーツの女性が真璃沙の肩に手を回し、護るように自分の方へ引き寄せてきた。
「警察です」
 毅然として女性が言った方を見ると、マスクをした男がもう一人の若い女性に手首を捕らえられていた。
「あなた今、触られてたでしょう?」
「あ……、はい」
 切り替えて優しげな声で囁いてきたから、真璃沙は安堵のあまり思わず頷いていた。
「大丈夫? 怖かったよねぇ。……ここで降りましょう?」
 電車は駅に到着していた。少し車内が騒ついている気がして、真璃沙は顔を伏せて女性に導かれるままに降りていった。だが降りたのは乗り換え駅で、ここも人の目がが多かった。
「あ、あの、お願いです。さ、騒ぎにしないで……」
 真璃沙は震える声で肩を抱き続けている女性に頼んだ。前のように駅員や係員が駆け付けたら、周囲を好奇の目に囲まれてしまう。そうなったら今度こそ汚名が立ってしまうかもしれない。
「わかったわ。じゃ、人の少ない所に行きましょうね」
 そう言ってくれた女性に導かれるまま歩き、改札を抜けて広い通路の凹んだ場所へと導かれた。それでもすぐ近くを人が歩いて行くから、真璃沙は顔が見られぬように壁の方を向いた。
「……迷惑行為防止条例。知ってますね? その現行犯です。認めますか?」


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