第二章 報復されたシングルマザー-25
「い、いや……、む、むりよ、は、はいんない……」
二本であってもかなりの圧迫感だったろうに、「……きゃああっ!」
三本目が入った時の絶頂の声は、涼子の歳を忘れるほど、小娘のように可愛らしかった。
「やあっ、このオバサン、何か出したぁっ!」
汐里の非難の声。涼子が漏らした潮を浴びてしまったらしい。
「潮噴きするほど気持ちいいんですよね? いいんですよ、いっぱい気持ちよくなって。ほら……、ベロ、出しませんか?」
顔を近づけて誘う。
――涙に揺れる瞳で、暫くは唇を開けては閉じの逡巡をしていた涼子だったが、やがて見ただけでも芳醇な舌をおずおずと差し出した。保彦も舌を出す。
吸ってもらえると思って、絶頂の恍惚の中で舌を出していた涼子が、置かれた時間の長さに訝しんで薄目を開けた。保彦は触れるギリギリのところで舌を出したまま止めていた。それを知った涼子は、諦めたような溜息をついて、首を伸ばして近づけてくる。
だが保彦は首を引いた。届かない位置まで遠ざかると、涼子は眉を寄せて無言の抗議をして舌を仕舞い、溢れていた期待の唾液を呑み込んだ。
「さっきまでキス、拒んでましたよね」
「あ……、う、だって……」
「ほら、したいんですか? したくないんですか?」
「ううっ……」
一旦舌を引っ込めて、唇を固く結んだ涼子だったが、カシャカシャと音を立てながら三本のペン尻が密壺を掻き回すと、
「うああっ、キ、キスしてっ、キスッ……!」
迫ってきた絶頂の波に急かされて叫んだ。
「ベロチューしたいですか?」
「し、……うあっ、し、したい」
「ベロチューですか?」
「んんっ」
ジャラッと両手を引いて鎖を鳴らすと、「ベ、ベロチューよっ!」
保彦は誘惑に負けた涼子の妖美さに、その唇が閉じる前に深く舌を差し入れると、中に残溜していた唾液を啜った。
「あむっ、……おんっ……」
悩ましい声を上げて応じた涼子は、その途中で、「むっ、ぶっ……!」
そのまま九回目の絶頂を迎えると、
「またっ……。マネージャー、ぶしゅぶしゅ潮噴いてるぅ」
汐里が言うまでもなく、キスをしながらの絶頂は涼子を完全に蕩けさせたようで、高波の後も涼子の方から舌を絡ませてディープキスをねだってきた。
「……次が、最後ですね。涼子マネージャー。次イッたら、いよいよ終わりです」
唇を離し、頬を優しく撫でた。濃密なキスと絶頂を同時に味わった涼子が開けた薄目は、トロンと充血して惚やけていた。「あと一回、イッたら、そのあと俺は広瀬さんと、たっぷりセックスしますから、安心してください」
「え……」
意外そうな顔。
だが自身でそんな表情を向けてしまったことに気づいたようだ。エグゼクティブマネージャーとしての、そして母親としての自制心を総動員して、勃こった衝動を抑えこもうとする前に、
「それとも……、俺としたいですか?」
と誘いかける。
「ちょっと! 横取りしないでよ、オバサンっ……バ、ババアッ!!」
保彦の誘いが聞こえた汐里が、話が違う、と敵意を涼子に向け、四本目のペンを周囲に探し始めた。
「どうします? 早くしないと汐里、もう一本ブチ込むつもりですよ? ペンなんて何本突っ込まれても、本当に気持ちいい一本には敵わない。そう思いません?」
「あ……、で、でも……」
「涼子が、俺の性奴隷になったら、十回目は……」
耳朶に唇を押し付け、舌先でイヤリングのジュエリーを弄い、これだけ陵辱されてもまだ髪と体から漂ってくる気品を嗅ぎながら、「十回目は俺のオチンポでしてあげますけど? ……十一回目も、十二回目もね」
「んんっ!」
囁きは涼子の脳に浸透していっただろう。あとは涼子の回答を待つだけだ。保彦は椅子から立ち上がると、新たなペンを涼子の股間に揮おうとしている汐里の側に寄り、そっと手で甲を抑えた。
「やだ……、なに? 約束ちがうっ」
ぼろぼろと涙を溢して、保彦が制するのもきかずにペンを埋めようとしている汐里の髪を撫でてやる。チラリと手元を見ると、涼子の花唇に三本のペンが突き刺さっていて淫洞をいっぱいにまで圧迫していた。ここにもう一本突き立てようものなら、いかに吸縮力のある涼子の媚肉でも壊れてしまいかねない。
「やめろ。命令だ」
汐里が嗚咽混じりに項垂れて、
「この、クソババァ……」
と搾り出すように言った。
女って恐ろしいな、と保彦は内心苦笑し、今度は会議室に響く大きな声で、
「さあっ、どうします? 宮本マネージャー」
と問いかけた。
号泣している汐里の陰で涼子の顔が見えない。邪魔だな、この女。
保彦は表向きは優しく汐里を抱えてテーブルから下ろした。汐里はチェアに身を落とし、突っ伏して泣き続ける。
涼子は煩悶して押し黙っている。まだ突き刺さったままだったペンを一本、ゆっくりと抜き取ると、キャップのところまで白く濁った液が垂れてきた。
「それともペンで十回目、イッちゃいますか?」
スマホでペンを花唇に収めたままの涼子を撮る。シャッター音のメロディーを聞いた涼子は、右に向けていた顔を左に向け直した。