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なりすました姦辱
【ファンタジー 官能小説】

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第二章 報復されたシングルマザー-11

 途端に保彦の中で淫虐が間欠し始めた。
それでも何とか自分を鼓舞して狼藉を続けたが、脚を開かせれば抵抗なくパックリと開くし、命じれば男茎の恥垢の巣へキスをするし、子宮へ密着させて夥しい精液を放てば一緒になって汐里も絶頂した。
 性奴隷へと堕とした日、徹夜で犯し続けることができたのが嘘のようだった。
 二度射精するも、土橋らしく量は多いし気持ちよさはあったが、初めて犯した時の尿道が甘く爛れてしまいそうな、あの激烈な快楽は、この日の汐里のからはもたらされなかった。
 蜜壺から男茎を抜き取り、土橋の男茎は相変わらず勃起を続けているのに、保彦にこれ以上陵辱を行う活力が湧いてこなかった。もう終わり? ――二回の射精の間に何度もイッたくせに、汐里は拍子抜けたというようにマットレスにうつ伏せて、保彦を恨めしげな目で見やってきた。
 理由は分かっている。頭から離れない涼子の冷笑のせいだ。
 涼子に対する激情を汐里へ転嫁してやれば、遣る方無い劣情が収まってくるのかと思ったが、昼間の会議室で襲いかかった時と結果は同じだった。
 不完全燃焼という顔つきをしていた汐里だったが、土橋が一向に襲いかかって来ないことを悟ると、諦めてティッシュで脚の間の白濁を拭って服を着た。
 さすがに数日同じ下着やシャツを身につけているのが苦痛になっていたので、洗濯をしろと命じた。汐里はそれをやれば「続き」があるとでも思ったのか、パッと表情晴らすと従順に取り掛かり始めた。
 意外と手際よく洗濯物を集めて、分類しては古い洗濯機に投入している汐里を尻目に、保彦はマットレスに横臥したままスマホの画面を開いた。
「……あっ!」
「え?」
 声を上げると、驚いた汐里が動きを止めたが、保彦は見もしなかった。
 汐里などに構ってられなかった。呟きアプリのタイムラインに、待望していたアイコンが表示されている。
『日本橋で北欧フェアだと? ぜったい行かねばっ!』
 百貨店で開催される催しを知った愛梨が呟いていた。呟く時の文調は普段の清楚なお嬢様とは別物で、短い文だったが本人に間違いない。
 遂に愛梨がアクションをしてくれた。
 しかし喜びはすぐに萎んだ。保彦のマイページには通知にもメッセージにも新着を示すマークは付いていなかった。念のためフォローワの一覧を全て確認したが、愛梨はいなかった。
 もう一度フォローとプライベートメッセージを促す呟きを入れ、アプリの画面に変化が現れるのを待った。
 ――悲嘆なのか憤怒なのかよく分からない、おそらく両方だ、ガスを含んだ軟泥がブクブクと泡を立てるような澱みが保彦の底に溜まっていった。
 もうこの鬱屈を晴らす方法は他になかった。
 呟きアプリのことは――、愛梨のことは、一旦忘れよう。もうすぐ……。
 そう思ったがちょうど、ドアが開く音とともに、スイッチが押されて部屋が急に明るくなった。
「申し訳ありません、こんな時間に……、ご家族、大丈夫でしょうか?」
 汐里の声。
「大丈夫。子供は慣れてるから。……それよりも、広瀬さん、社内に不正があるかもしれないって、どういうこと?」
 続いて聞こえてきた声を聞いただけで、ズボンの中が反応した。ギ、と音がして、涼子が汐里と話しながらチェアへ座ったことが窺えた。
「はい……」
 ピッと電子錠の音が聞こえた。手筈通り、汐里が部屋を密室にしたのだ。
 保彦は音を立てないよう細心の注意を払いながら、ホワイトボードの陰から顔を出した。汐里が一瞬こちらを見て、保彦の存在を確認し、すぐに涼子に視線を戻す。
「話して? ……広瀬さんも座ったら?」
「い、いえ、立って報告するほうが、やりやすいです」
 それを聞くと涼子は頷いて、汐里が口を開くのを待った。
 保彦からは斜め後ろから涼子を見る形だった。背凭れに身を預けずに脚を組んでいる。今日はジャケットを脱いでいて、高級そうな白いブラウスに黒のタイトスカート。どこか客先を訪問する予定でもあったのだろうか、初対面の時よりも幾分畏まったスタイルだった。
 だがありがたいことに前のスカートより丈が短めだ。組んだ脚によってスカートの裾が上がり、魅惑的な太ももに装飾が施されたストッキングの縁が少し覗いていた。
 髪はこの前と同じアップスタイル。仕事の時は必ず、その髪型にすると決めているのかもしれない。
 しかしあの横顔……。改めて見ると、やはり普段から能力の低い男は蔑んでいる驕慢さが感じられた。けれども美しい。アラフォー? 汐里が十歳離れていると言って驚いた。三十をまだ超えていない、と言われても違和感はないし、ましてや子供がいるようにはとても見えない。
 保彦からは十五以上離れていることになる。「オバサン」には性的興味はない。だが年齢を聞いても、目の前にいるのは「オバサン」ではなかった。魅力溢れる妖艶なオンナであり、その気高い御身を這いつくばらせてやりたい憎敵だ。


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