悪戯-1
***
昨日の夜。
寝てしまったちづるの横で、
寝顔を眺めていたタクミは
自分も寝てしまった。
2時間ほど眠り、ふと目を覚ます。
「、 、、 ぁーー 」
寝ちゃ た
ぁ、。
ちづちゃんに 服
着せなきゃ
タクミはそれからトイレに行き、
寝室に戻る。
ちづるのパジャマを手に取り
服を頭から被せる。
「およーふくー、、、
着ましょーねーー 」
「 ん 、、 ふ ん」
腕を通している時、
一瞬だがちづるの口角があがり
笑ったように見えた。
豆電球の部屋は薄暗いが
タクミはその表情をじっと見つめる。
すぐに真顔に戻った。
「、 、 、 はぁ、。」
気持ちよさそ、、
かわいい けど
なんか
憎ったらしーー、、、
、 、 、 、、。
本当にこの人
大人か?
なんで健にまで
からかわれてんだよ
っつーか やっぱり
健と話した事
隠そうとしてたよな
絆創膏の事も
「、 、 、 、、。」
ちづると健が、
楽しげに話していた事を思い出す。
むくりと立ち上がり
タンスからバスタオルを
静かに取り出す。
ちづるのお尻の下にそれを
敷いた後、キッチンへ行き
コップに少し水を入れて
その水をタオルの上に静かに落とす。
ちょっとした悪戯だった。
ちづるが朝、
それに気がついて驚く顔を想像する。
驚かしてから
それは自分がした悪戯だと
言うつもりでいた。
***
タクミは朝食を取りながら
ちづると話す。
話題は、
たこ焼きの中身について
話している。
「俺はぁ、
チョコはちょっとなー。
合わなそうじゃない?」
っつーか 。
あんなに傷つくとは
そういや 前も
おねしょに
反応してたっけ
あぁ、、、
あの 顔 っ !
やばーーく
萌えたわーーー、、、、
「えー?
そうかな?
チョコは絶対に美味しいと思うよ。
あっついから
中で溶けて、、」
「そーかなぁ?」
タクミは話を聞きながら、
目に涙をためて黙々と菓子パンを
食べていたちづるの顔を思い出す。
あの顔を見た時。
タクミは、
ちづるが小学5年生の時にちづるを
苛めた同級生の男、リーダー君を
思い出した。
その男がしつこく
ちづるを追い詰めた気持ちが
手に取るように分かる。
ちづるの顔を眺めてタクミが言う。
「中がチョコならさ、
さっき食べてたー、、
あれは、生クリーム?
つけて食べたら
美味しそうじゃない?」
「ぇ? ぁ、、、うん。」
「さっきのやつは?
美味しかった?」
「んーー? 、、、うん。
美味しかった。」
味 全く覚えてない
「そーなんだー。
あれコンビニにもあるよね。
俺も、今度買お。」
まーた 嘘ついてる
味なんて
全く覚えてないんだろーなー
「、、、。
今日は1日雨だから、
なんか
DVD でも借りに行こうかな。」
「そーだねーー。
あ、俺も借りたいやつあるんだ。」
リーダー君
『一生嫌い』と言われた
哀れなリーダー君の意志は
俺が 継ご っと
「あ、本当? 映画?」
「ななみちゃんのー。新作。」
「 っ!! 、 、、」
「一緒に観よっかー。
色々勉強になるかもよ?」
「、 、 、、
私は 」
「 ん?」
「勉強は、1人でするから、、
大丈夫。」
「えぇー?
えっろーーいっ ! 」
「っ、 なんで?」
「まぁ、、でも、うん。
そうだね。
俺がいっぱいイかせてあげても
足りないよね。
1人でも処理しなきゃ
ちづちゃんには 」
「、!?
そういう意味じゃないよ!
本とか、、ネットとかでって事。
知識の部分は1人で 、って 」
「ななみちゃんの新作はね。
ぇーと、『潮吹き 女教師』?
だったかなぁ。 」
「〜っ、、私は
観ないよ。」
「はいはい。
俺が、勉強しとくよ。」
「、 、 、 、、。」
「どーにかねー、、、
ちづちゃんに
恥をかかせない方法を、 」
「 ! 〜っ 、、 」
「ぁーー、、いや、ごめん。
なんてゆーか。
俺も、出来る事は
してあげたいって思っててーー。」
「、 、 、、ん 。」
ちづるは気まずそうに
お皿をさげると、
キッチンに向かった。