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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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エスカレーター-1

玄関から外に出て駅に向かう。

2人は、少し距離を取って歩く。
晴れている空が気持ち良い。

朝の駅までの道は
2人と同じように、
学生やサラリーマンが足早に
歩いている。

しばらく黙々と歩く。

ちづるがふと、言う。

「3月って、お勉強まだするの?」

「まーー、ちょっとはね。」

「皆、進路とか決まってるから
気が抜けてたりしない?」

「そりゃー しちゃうよー。」

「そっか。
そうだよね。
 あ、健くんは? 大学?だっけ。」

「ん? 、、、うん。」

「卒業、寂しい?」

「んーーー、、まぁ 少しはね。
でも健とか、他の、、
結構仲のいい連中は
 住んでる所、近いから。」

「そっか。
そうだよね。
知可子の家なんて、すぐだもんね。
じゃあ、健君は
実家から大学に通うんだね。」

「ぁーー、 うん。」

「健君は、どこまで通うの?」

「んーー? 
どこだったかな。
モノレールじゃない?」

「そっか。
モノレールも朝はここからだと
混んでそうだよね。
  大変そうだなぁ、、。」

「、 、 、、。」

「ね、健君はさぁ 、」

「あのさ 」


タクミはちづるに、
何故そんなに
健の話をするのか聞こうとした。

その時。

駅の外に設置してあるエスカレーター
の下で、制服を着た男が、こちらに向かって
大きく手を振っている。
「おーい。おはよーー。」
とタクミに向かって言っている姿を
確認すると、それは健だった。

「 げ。」

タクミは思わずそう言ったが、
朝のラインを見て、なんとなく
駅に健がいるような気はしていた。

ちづるは驚いて健を見る。

2人はエスカレーターの下にいる
健に近づく。
健がニコニコして言う。

「おはよー。
あれ?
常盤さんも?
 おはようございます。」 

「〜っ ぁの、おはよう 」

「こないだはどーも。
 お世話かけちゃってーー。
      、 、、、。」

健の目が、
『なんで一緒にいるの?』
と聞いているように
タクミとちづるを交互に見る。
ちづるは慌てて言い訳をする。



「 そこで っ!
 家出たら、会ったの 
 〜っ、、ぁ。
知可子
 2日酔いだったんだってね。」

「ぁーー、でもそれ、
  ほとんど毎日。」

「ぇー? ふふっ、、 」

「マジで。
ほぼ毎日飲んでるんスよ?」

「そうなの?
昔は毎日ではなかったのに。
 ふふっ 強いもんねー。」

「いやいや、
 強かったらあんな風に
  迷惑かけないって。」

「あは っ、確かに〜!」

2人が話している間、
タクミは黙って2人の会話を
聞いていた。
健はちづるに言う。

「あ、姉ちゃんからタコパ
  聞きました?」

「 え? 
 あっ! 聞いたっ!
買ったんでしょ? 
たこ焼き機。
知可子、腕を自慢したがってた〜」

「そーそー!
誘われたでしょ?
  常盤さん来たら
 俺も、作ろっかなー。」

「ぇ? ふふっ、、
   健君も、上手なの?」

「俺も、
結構うまくなってきてぇーー
 あ。 ねぇ、タクミも来ない?
 タコパーー、、」


「 え? 、、、。」



タクミは健に『何言ってんだよ』
という目をする。
ちづるは、
健がタクミを誘った事に驚く。
4人でのたこ焼きパーティーの
画を想像する。
とてもじゃないが、
平常心ではいられない事は確かだ。

ちづるはアタフタしながら、
笑って言う。

「ぇ と、、! ぁ、、
 あはは、、 でもー、、
あれだよね? 
もっと2人は、、、
 年の近い女の子とやった方が
 楽しいんじゃないかな?」

「ぇーー? 
  そーぉ?タクミ。」

「、 、 、 、、。」


タクミは黙って健を睨む。
健が言う。

「まぁ、タクミはそーかもね。
 あのね、タコじゃなくても
美味しいんですよ。
    チョコとか 、」

「健。」

「 ん?」

「行こう。学校、遅れる。」

「 え? 、、、。」

   遅れる ? 

 いつもより 
   早い時間では ?


「あっ! 学校、、
そうだよね。
じゃあ、、私、こっちだから。」


ちづるはエスカレーターに乗らず、
駅のロータリー沿いを
歩こうとする。

「じゃあ、、 また 」

「うん。
常盤さん、またねー。」

「、 、 、、。」


タクミは仏頂面で
ちづるに軽く会釈をした。

ちづるも2人に会釈をして、
職場に向かった。


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