気まずい朝-2
妙な空気が流れている。
タクミはすぐ様、それを読み取る。
「、 、、、。」
なんだ?
昨日の話
してほしくない って顔だな
怖がってた事を
気にしてる ?
「、 、〜っ、タクミ君?」
「、、ぁーー。ううん。
昨日、寝るの遅かったから
眠いかなーって聞きたかっただけ。」
「、、っ そっ か。
〜っ、眠くないよ!」
「そーぉ?」
「ん、うんっ
今日も、、元気。」
「そう。、、良かった。」
「、、〜っ ごちそうさま。
お化粧、しなきゃ 」
「、、、、。」
ちづるは、
自分が食べていた分の茶碗などを
持つと立ち上がり、
それを流しにさげると脱衣所へ行く。
洗濯物を干してそれをベランダに
出した後、
鏡の前でドライヤーを使い
髪を整え化粧をする。
少し、気持ちをあげようと思い
髪型はポニーテールにした。
化粧をしても、なかなか気持ちは
あがらない。
鏡の中の自分を見つめ、
今日の仕事や家事などの事を
考えようと試みるがつい、
昨日の事を考えてしまう。
怖がって、おしゃぶりを
欲しがった自分を思い出すと
恥ずかしいような、
情けないような気持ちになり
なんだか消えたくなってきた。
「、 、、、。」
タクミ君は
どう思ったんだろう
でも どんな風に聞いても
タクミ君は 優しいから
『かわいい』とか
『大丈夫だよ』って
言ってくれるような気がする
「ごちそーさまーー。」
リビングからタクミがそう言うと、
タクミも茶碗などをさげている。
「 ぁ、。うん、、。
あっ! 今、何時?」
「7時20分ー。」
「もうそんな時間?」
ちづるはそう言うと、
キッチンへ戻りお皿を洗い始める。
タクミは、
ソファーに座りスマホを見ている。
健からラインが入っている。
【おはよ。
朝って、常盤さんと一緒に出てんの?】
【いつもは別々だけど、
今日は一緒。 なんで?】
健にそう送ると既読はついたが
返信はこない。
かわりに、OKのスタンプだけ
入った。
「 ?」
何のOKだ?
一方でちづるは洗い物をしている。
まだ悶々と考えている。
「、 、、、はぁ、。」
今まで
独りでも大丈夫だったのに
なんか タクミ君と
一緒に居ると
心の 奥が
乱れる
「あ。もう30分になるよー。」
「え?本当?
、 、、終わった。
出よっか。」
「うん。」
タクミは学生鞄を持つと
テレビとエアコンをリモコンで消した。
タクミが先に部屋から出る。
ちづるはガスコンロを
指差して、火の元の確認をする。
ちづるもタクミを追うように
バッグを持ち、部屋から出て玄関に行く。
ふと、玄関で
タクミの背中をじっと見る。
タクミはそれに気がつかず
靴を履こうとしている。
「、 、 、 、、、。」
ちづるの胸に
タクミへ甘えたいような、
それでいて焦燥しているような
そんな気持ちが溢れた。
気がつくと
ちづるは後ろからタクミの
鞄を引っ張るように持っていた。
タクミが振り向く。
「 んっ ? 」
「 、 、、? ぁ 。」
あれ ?
私
何やってんだろ
「 ? ちづちゃん?」
「、 、、ぁは、
ごめん、、。
なんでもない。」
ちづるはそう言って
気まずそうに笑うと
手から鞄をパッと離した。
タクミがちづるの顔を覗きこむ。
ちづるが慌てて言う。
「、〜っ、、ごめんね?
本当、なんでもないの。」
「、 、 、、、。」
「行こっ か。」
「、、不安定気味?」
「 ぇ?」
「なんか、、昨日から。」
「、、ん、
どうなんだろ。
、、分かんない。」
「 おいでーー?」
「 え?」
「 っ、 ほら 」
タクミはちづるの腕をひっぱると、
そのまま身体をぎゅっと抱きしめた。
ちづるはしばらく、
黙ってタクミの胸に顔を埋めていた。
慌てて手を、自分の顔の前に置いて
言う。
「 ぁ、。
ファンデ、ついちゃうよ、、。」
「いーの いーのーー。」
「、っ よくないよ、、。」
「だってー、、
外出ちゃったら
手も繋げないしー。」
「 〜っ ふふ、、 ぅん。」
一緒に 居たい
少しの時間も
離れたくない
ぁ、、 私
男の人に 初めて
甘えてるかも
「俺は繋ぐの
全然いいんだけどーー、、。」
「ふふ、、 それは 」
「『出来ません』でしょー?」
「 はい。 ふふっ 」
「少し、落ち着いた?」
「、、、うん。」
「本当ーー?
怖がりちぃーちゃん。」
「、、うん。」
怖くなったり
ちょっと
抱きしめてくれるだけで
心の奥の方が 凄く
落ち着いたり
「タクミ君、ありがとう。」
なんか
不思議
「、 、、、ん。」
ちづるは
タクミの顔を真っ直ぐ見て
そうお礼を言った。
タクミは
ちづるの顔を見ると
改めて美人だと気がつく。
少し照れながら顔を背けた。