葵の父親-3
包みを開けると小さな箱の中にシンプルなネックレスが入っていた。
上品なピンクゴールドのチェーンに、アルファベットのNとAの小さな文字が
ついている。
「わぁっ、ありがとう!綺麗だね。奈々子の『な』だ。」
と奈々子が言うと、葵は少し焦ったように言った。
「奈々子のNと葵のA!」
奈々子はハッと気がついて、笑ってしまった。
「ほんとだ!私たちの名前だね!!嬉しいっ。」
「・・・ほんとに?」
葵は疑うように奈々子を見つめた。
「ほんとだよ!!これならこっそり職場でもつけられそう。毎日つけるね。」
そう言って奈々子が箱からネックレスを取り出し、
早速身につけようとすると葵が手を出した。
「貸して、俺がつけてあげるね。」
葵は奈々子の掌からネックレスを受け取り、ソファーに座る奈々子の前に座り、
覆いかぶさるように両手を首の後ろに回してネックレスの金具をはめると、
葵のお気に入りのコロンの香りがうっすらと奈々子の鼻をかすめた。
安心する香り・・・このままギュって抱きしめられたいなと思ってしまう。