我ら純情中学二年生-5
ドアをノックすると、勉強でわからないところがある旨を達矢は伝えた。
どうぞ、と言って理乃たちはこころよく招き入れてくれた。
その様子をこっそりうかがっていた豊も達矢の部屋に引っ込み、おとなしく朗報を待つことにした。
派遣先から達矢が帰ってきたのは、それから数分後のことである。
「どうだった?」
「うん、ばっちり問題を解いてもらった」
「そうじゃなくて、あっちの様子だよ」
「えへへ、わかってるって」
伸びた鼻の下をこすりながら達矢は報告した。
姉の理乃を含めた四人の高校生がいた、と。
「それだけ?」
豊は問う。
「以上」
達矢は締めくくった。
何やってんだよ、それじゃあ情報量が少なすぎるよ──と豊は頭を抱えて愕然とした。
だがここでくじけるわけにはいかない。
向こうだってきっと男子と絡みたいに決まってる。
「よし、もう一回行ってきてくれ」
意味ありげな笑みを浮かべながら豊は言った。
ちょっと俺に考えがある、とも。
「考え?」
「まあ、任せとけ」
訝しむ達矢に見守られる中、豊はさくさくと作業を進めていく。
作業のほとんどはペンとノートのみで行われた。
「できた」
豊はペンを置いた。
文句なしの仕上がり具合である。
達矢がノートをのぞき込んでみると、そこにはいくつかの質問事項が書かれていた。
なるほど、そういうことか、と達矢。
「これを姉ちゃんの部屋に届ければいいんだね?」
「よろしく頼む」
「がってん承知」
達矢が弾丸のように部屋を飛び出していく。
今日の俺はいつになく冴えてるぜ──そうやって豊が自前の坊主頭を撫でていると、相棒の達矢が舞い戻ってきた。
どうやらうまくいったようだ。
二人はさっそく炭酸ジュースで祝杯をあげた。
「姉ちゃんの友達ってさ、美人ばっかりなんだよね」
達矢は言った。
「あんまり期待させるようなこと言うなよ」
まさかジュースで酔っ払ったのか、豊の顔が赤く茹だっている。