private club-1
あるマンション。
料金は時間制。
角部屋206号室へと案内された。
途中201、202、と廊下を歩いているときに、くぐもったような人間の鳴き声を聞いた。
喘ぎ声というやつだろうか。
谷野は期待と不安が綯い交ぜになりながらも、股間は少し膨らみはじめている。
「料金と、身分証を預かります。」
玄関を入ってすぐのところで、受付にそれらを渡す。
扉を開けた瞬間から聞こえた、鮮明な喘ぎ声。
「そこの風呂場でシャワーを浴びて、そしたらあとは90分、ちょうど10時まで。好きなように楽しんでください。」
荷物を預け、番号の札をもらう。
摘発にでもあって踏み込まれたらおしまいだ、という不安と、中で巻き起こる乱痴気騒ぎへの期待。
シャワーを浴びて、ガウンを羽織り入室。
此処は売春宿。
フロアが丸ごと使用されている。
このマンションの持ち主である大河原という男と、仕事関係で親密になり数ヶ月経ったあるとき、このプライベートクラブへの招待を受けた。
青年を愛好する者達の秘密の楽園で、大河原は早々に谷野の性癖を見抜いていたそうだ。
大河原がいつも連れている、秘書の青年を見る目つきで判断するらしい。
「おお…素晴らしい…」
映画で観た遊郭のように、ひと部屋に一組ではなく、同じ空間に何人も男娼が待機しており、間仕切りのみでみな様々な相手とセックスしている。
薄暗い部屋、よくわからない甘い香り、人間の熱気。
そして部屋中から聞こえる、青年たちの嬌声。
客たちは懸命に腰を振ったり、四つん這いの青年に膝立ちでフェラをさせたり、思い思いに楽しんでいる。
「ああっ!イクイク〜!!だめぇぇぇ気持ちいいよぉ〜〜」
そんな男娼の声を聞いて、谷野の股間は一気に盛り上がった。
「谷野さん?こっちこっち。」
奥の仕切りから、誰かが呼ぶ。
「あ…ああ、君は…」
「予約の方でしょ?」
薄暗くても分かる、自分を呼ぶ青年の並外れた美しさ。
仕切りの中へ入る。
一畳とちょっとの狭い空間。
向かい合って座り、青年が微笑む。
「はじめまして。涼です。わざわざ指名してくれたみたいで、ありがとうございました。」
ニコッと笑う顔が、子猫のようにイタズラで愛らしい。
「いやあ…大河原さんの携帯に入ってる写真…すごく綺麗だったから」
「嬉しい。」
となりの仕切りから、ラストスパートのように肉を打ちつける音と、悲鳴のような喘ぎ声、そして客の激しい息づかいが聞こえる。
ぎょっとしてつい壁を見やると、涼がクスクス笑って、谷野にキスをした。
「最初は慣れないけど、一回ヤればここがクセになるよ。いろんな人たちに煽られて、イきやすくなるみたい。」
すり寄ってきた涼の身体に手を回す。
細くしなやかそうな腰とさらさらした肌触りに、それだけで感動した。
―「イク!イク!出すぞ!」
隣の客だ。
「ああ!ああ!もうだめ!早く出して!!!」
「うおぉぉあ゛…ぐふっ…」
睾丸の当たる音がぴたりと止み、青年の細くけだるそうな声。
青年が中出しされているんだと察した瞬間、谷野のペニスも一気に熱くなった。
他人のセックスを間近で感じるだけで、こんなにも興奮するのかと驚いた。
フェラをしてもらわなければここまで大きくならないのに、声や音だけで完勃ちしている。
すでにガウンから飛び出している谷野の硬いペニス。
涼は猫が餌を食うかのような体勢で亀頭を舐め、徐々に口で包み、喉まですっぽりとくわえ込んだ。
「ああ…リョウくん…上手いね…」
亀頭が喉にあたる。
舌が温かく、時々歯で優しく刺激されるのが良い。
ビンビンに張り詰めたペニスは何をされてもすぐに噴火を迎えそうなほど興奮し、谷野はフェラを制して涼を押し倒した。
「本当に綺麗な子だね…」
涼が微笑む。
部屋にはまだ何人もの客が夢中でセックスに励んでおり、今度は斜向かいの客がバックで青年を突きまくっている。
涼の舌を吸うようにキスをして、マーキングのようにペニスをこすりつける。
乳首を吸い上げ、舌先でつつくように舐めると、涼が細い声で鳴く。
「はあっ、はあっ、はあっ、カオル、カオル…ぐっ…」
斜向かいの客が青年の中に射精した瞬間を見た。
カオルと呼ばれた青年は、もう何度もやられてるのか、中に出されても声もあげずぐったりとしたままだ。
谷野はたまらなくなり、涼の睾丸の真下にある穴にむしゃぶりつき、舐め回した。
涼が腰を捩らせても、腿を固定し中を吸ったり襞を噛んだり、舌を入れて濡らす。
指を一気に2本入れてみたが、期待の膨らむ狭さだ。
「あぅっ…あっ…」
「きついね…指2本だけなのに…」
谷野のペニスから我慢汁が何滴も滴った。
そして谷野が上体を起こし、硬く反り返ったペニスを性急に膣口に割り込ませた。
「あ!大きっ…」
粘液に助けられ亀頭がぬぷぬぷと忍び込んでいく。