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菩薩恒作衆生利( ぼさつこうさくしゅうせいり )
【ロリ 官能小説】

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帰国-2

空港に降りたら異様だった。人々がみんな同じ顔に見えた。別世界に来た感じだったが、ここが日本なのだ。
飛行機を乗り継いで、電車に乗り換え、町に降り立った。蝉の声を聞いた途端、懐かしさがこみ上げてきた。
荷物を郵送し、身軽になった僕は、まずドンブロフスキーさんの所に行こうと思った。実家は後でいい。三年間のやりくりを世話してくれたお礼を言わなくては。
農場は変わっていなかった。農繁期真っ盛りである。キュウリにトマト、ズッキーニ、ナス、レタス、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー、ビーツ。まだまだある。そうやって作物を懐かしく数え、事務所に向かって歩いていたら、ビクトルがいた。ビクトルもこちらに目を留めた。地下足袋で飛び寄ってきた。
「おお、友よ! 妹は二次性徴を迎えたようだね! さすがは誠くんだ。」
抱きしめられながら、ニジセイチョウという日本語の意味を思い出しつつ
「なんで知ってるの?」
「ん! 祖母から連絡があった。」
妹のそういうことを普通、祖母が兄にわざわざ伝えるかなと怪しんだが、この家族ならあり得ると考え直した。「さすが」とそこで言うのもおかしい。
「いろいろありがとう!」
感極まった目付きをしたビクトルが、そう僕に言った。
「なんで僕より先に言うんだよ。おかしいだろ。タイミング、外しちゃったじゃないか。でも、ありがとう! こんな経験、させてくれて。」
「マスターのところへ行こう。」
「マスター?」
「もちろんドンブロフスキーさんだ。」
「喫茶店でも始めた?」
「何を言っている。君なら話してもいいだろう。ドンブロフスキーさんは」
「やあ、誠くん、お帰りなさい!」
ドンブロフスキーさんが、いつの間にか近くに来ていた。
「いろいろ、ありがとうございました。」
「とんでもない。あれだけこちらが世話になったんだ。ビクトル、今は仕事に戻りなさい。誠くん、今日は泊まっていけるのかな?」
「はい。よろしければ。」
「誠くんは家族みたいなものだ。遠慮することはない。」
「そう言えば、ラサは?」
「まだ高専。夏休みで友達と旅行中だ。もう帰ってくるんじゃなかったかな。じゃ、また後で。」
ビクトルはウインクして戻っていった。
「イーラは数日前から帰っているんだよ。」
「えっ?」
会えるのがいつになるとは考えていなかった僕は、聞いて焦った。
ドンブロフスキーさんの携帯電話が鳴った。
「ああ、じゃあ会っておいで。また後でね。」
ポーランド語で電話に何か言いながら、ドンブロフスキーさんは事務所に向かって歩いていった。


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