自我-1
「イーラ、開けていいかな。」
「うん。入って。」
部屋の戸を開けると、イーラは勉強机に向かい何か書いていた。
僕の実家でイーラは弟の部屋を使っている。年頃の女の子だからと両親が気遣ってのことだった。弟は高校の寮にいて、夏も部活動のためにほとんど帰ってこない。
「したいんだけど。溜まっちゃって落ち着かなくて。」
「また? 男の人ってなんか大変。あたし今そういう気分じゃないなあ。おなか痛いし。あとじゃだめ?」
「早くしないとみんなが買い物から帰ってくる。」
一週間と半分をうちで暮らしたイーラは、既に家族同様になっていた。僕の両親はイーラを娘か孫のように思い、イーラにとっても、僕の親だということで心安く、やはり実の家族のように感じているようだった。あと三日で農場に帰らなくてはならないのをひどく惜しんでいた。
相手をしてくれる親のいる落ち着いた生活にイーラは飢えていたのだろう。ここに来てからは、自分でしたいことを見つけだし、僕になんでも頼るということがどんどん減っていった。
だから、振る舞いも普通の女の子らしくなって当然の道理だった。それに置いていかれている気が僕はしていた。
イーラは離れていくのだ。喜ばしいことのはずが、僕には身を裂かれる思いがあった。頼りきっていたのは僕も同じだったと知った。
「イーラ。」
僕はズボンのチャックを下ろし、取り出して、今の心の様子を見せた。
イーラはノートをぱたんと閉じた。それから落ち着いた瞳で僕を見つめた。
「誠さん、お願いがあるの。」
立ち上がり、こちらへ来たイーラは、しっとりとやわらかい両の手のひらに僕を包むと、親指の腹で裏側をさすりながら
「これが済んだら、お兄ちゃんて呼んでいい? 本当のお兄ちゃん。お兄ちゃんとは、こういうこと、しないんだよ。」
本当に家族になるつもりらしい。固い意志が目の色に見てとれた。
「僕は、イーラがお嫁さんになるのかと思ってた。」
「あっ。」
不意を突かれたようで、目を伏せた。僕は言って悪かったと感じた。
「学校に通ったら、友達もできるし、きっと好きな人もできるだろう? やっぱり僕はお兄ちゃんかな。」
どうして欲しいという願いも、実際はなかった。イーラも困ったようで、何も答えず、握った手に唇を近づけた。しかし僕はイーラの頭に手を置くと、しっかり立たせ、自分がひざまずいて白いスカートを捲り上げた。イーラは自分で下着を下ろした。
毛が伸びてきていた。かすかにわきがのにおいがする。もっと女の子のにおいが欲しくて、奥のほうを嗅いだ。イーラのにおいは鼻から口を満たし、そして僕の全身を潤していった。
「誠さん、これじゃできないよ。」
言い終わらぬうちにバランスを崩したイーラは前に倒れそうになった。それを支えようとした僕が倒れ、イーラは僕の顔に跨って座りこんだ。
母親のおっぱいを飲む飢えた子供の勢いで、溝の先の膨らみに僕は吸いついた。