知らされた過去-8
「―――お前さ、新しい男出来たの?」
「え?亜美から聞いたの?」
「いや、見た。職員玄関の所で男と待ち合わせしてるの。」
「見てたの?!・・・そう、彼氏できた。へへっなんか恥ずかしいな。」
奈々子は恥ずかしそうに一口カクテルを飲んだ。
「で、どう?今度はうまくいきそうなのか?」
「うーーん・・・わかんない。今、元カノが出て来てごちゃごちゃしてる。」
「お前波乱万丈だなーー!」
大げさに笑う東海林に、奈々子は尋ねる。
「そういう東海林君はどうなの?彼女とうまくいってるの?」
「あー、俺?去年別れたっきり、彼女はいないよ。」
「えっそうなの?!もったいない!私知ってるよ。東海林君目当ての女子高生とか、
OLがいるって聞いたよ〜。うちの婦長がね噂してた。
早く彼女作ればいいのに〜!!」
「マジで?!ふ〜ん。で、皆川はどう思う?」
「何が?どうって何?」
「俺の事。」
急に東海林は真顔で奈々子に質問した。
「え?東海林君の事?そうだな・・・優しいし話しやすいと思うよ。」
東海林に見つめられて不意に奈々子はドキッとした。
彼が次に何を言ってくるのか、奈々子は少し怖かった。
(急にこんな質問、どうしたんだろう?)
しかし、東海林はいつもの表情に戻りいつもの調子で話し出した。
「そうか〜、よく患者さんにも気軽に話せる看護師だなって言われるわ!!」
「うん、うん!だから人気もあるんだよ。きっと。」
それから終電の時間まで二人は飲んだ。