知らされた過去-6
それから数日が経つ。
珍しく葵から連絡がなかった。こんな事はあまりない。
以前なら試験勉強期間の時や塾で忙しい時は必ず奈々子に、
連絡出来ない事は前もって教えてくれていたのに。
私から連絡してみようか?
でも今会ったら、きっと平常心じゃいられない。
あの子との関係が何なのか頭の中をよぎって、うまく話ができないと思う。
悶々とする気持ちを抱えて奈々子は職場と自宅を往復するだけの日々を送っていた。
そんなある日、奈々子はトイレで用を済ませた後、
廊下でばったりと同期の東海林とすれ違った。
「おう皆川!久しぶりじゃね?同じ職場なのに1ヶ月くらい会わなかったな。」
「東海林君、そうだね。病院広いしシフト合わなかったら会わないよね。元気だった?」
「まぁな。今日何番?」
「遅番。東海林君は?」
「俺も遅番。ちょうどよかった。あのさ、今日時間あったら久しぶりに飲みに行かないか?」
奈々子もなんとなく飲みたい気分だったので、すぐに承諾した。
「いいよ、前に亜美ともよく行ってた居酒屋にする?」
「そうだな、じゃあ現地集合にするか。先に着いたら連絡くれ。」
久しぶりに飲みに行って憂さ晴らしをしちゃおう!
奈々子はそう思って残りの仕事をこなした。