知らされた過去-3
「報われない恋でね、彼すごいショック受けたんですよ〜。
でも立ち直ったみたいですね。よかった。」
久実はにこっと笑うと、サンドイッチを一口食べて紅茶を飲む。
「それにしても昔っから年上の女が好きなのは変わってないみたい。」
意味ありげに一方的に話す久実に、奈々子は段々とイライラしてしまう。
「あの、そういう話だったら私忙しいので帰りますね。」
そう言って奈々子は席を立とうとすると、久実は奈々子を睨んだ。
「つまんない。もっと食いつくかな〜と思ったのに。
いいわ、あなたせっかちそうだから、単刀直入に葵の事教えてあげる。」
久実から笑顔が消え、挑発するような目つきで奈々子に語りだした。
「気がついていると思うけど葵の初恋相手っていうのは、私よ!
あいつ私の事大好きだったのよ。でも私には他に好きな人がいたから
あいつの気持ちには応えられなかったの。
そのかわり、私は葵に色々教えてあげたわ。学校じゃ教えてくれないこともね。」
奈々子の心臓がドクっと大きく脈打つ。
「葵のファーストキスの相手は私。
女の人がどうやったら気持ち良くなるかを教えてあげたのも私。
でもね、私にも誤算があったの。そろそろ筆下ろししてあげようかと思ったら、
行方くらますんだもん。せっかく本当のエッチもさせてあげようと思ってたのにね〜。
意地悪しないで、早くするんだったかな。」
奈々子が今まで不思議に思っていたことがはっきりした。
葵が奈々子が初めての彼女だと言ったものの、体の関係が他人とはあったのだ。
童貞だったと言っても、前戯は目の前にいる女としていたのだ。
「葵のテクすごいでしょ?全部私が教え込んだのよ。」