女の影-3
また車をしばらく走らせてレストランへ入り席に案内されると、
何処かで見た事のある女の子が注文を取りに来た。
「あっ葵じゃん!!また会ったね。」
そう話しかけられると、奈々子は以前水族館の帰りにあった女の子だったことに
気がつく。
すると瞬く間に葵から笑顔が消え、一言「うん。」と答えるとそっぽを向いてしまった。
「おい、葵の知り合いか?どうも、初めまして〜こいつの親友の豹介です!」
女の子は意味ありげに豹介に微笑みかけると、ゆかりは何か気にくわないように
豹介の腕を掴んで刺々しく言った。
「豹介の彼女のゆかりです。あなたは誰ですか?」
「私?葵の家庭教師をしてた久実っていうの。葵の友達って事はみんな高校生?
あ、彼女は年上みたいだけど。」
久実と名乗る女の子は奈々子の方をチラッと見た。奈々子はなんだか気まずくて、
葵の方を見るが相変わらず葵は外の景色を見ている。
豹介も葵が久実と何かあったんだろうと気がついて、早口でしゃべりだす。
「あ・・・っと注文いいですか?」
「私も!私このピザ、豹介これ半分こしようよ。」
「お、いいね。じゃあ俺は・・・」
久実は注文を聞いている間、ずっと葵を見つめていることに奈々子は気がついた。
「お客様は何になさいますか?」
久実は奈々子に尋ねる。
「私は、これで。」
奈々子はメニュー表を指さすと、葵が口を開いた。
「俺も同じの。」
久実はにっこり微笑んで注文を確認した後、奈々子たちの席から去っていった。