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Fender Rhodes 1971
【同性愛♀ 官能小説】

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後編-1


一週間ほど経った頃。
学校帰りに、駅ビルの上の方の書店で雑誌を買った。
下りのエレベーターは各駅停車状態で、人が大勢乗り降りして、ノロノロと降りる。
私はエレベーターの一番奥で、買った雑誌を取り出して、パラパラとめくります。

雑誌から顔を上げると、乗り込んだばかりの島津さんとバッタリ!
距離ゼロ!
相手も、物凄く驚いた顔をしています!
押し込められて逃げ場もありません!

「うぁ…。や、ヤァ。あ?…、楽器店のフロアだね」
「…うん、楽譜を買いに来たの。…置いてきちゃったし」

猛烈に気まずい会話です。
目線を合わせられない。
小声で話します。

「学校、出てきなよ…。あの事、誰にも話して無いからさ。
このまま学校やめるとか、私、あと味悪いし」
「ちっ!違っ!」

歯をくいしばって怒ってるよ…。
狭いエレベーターの周りの人も、何事かとこちらをチラ見します。

地上階でエレベーターを出ると、島津さんに腕を掴まれて、正面から詰め寄られます!

「来て!私のうちに来て!ちゃんと知って欲しいの!今からうちに来て!」
「う、うん。いいよ」

何だ?何を知って欲しいっちゅうんだ?
もっと秘密の性癖でもあるのか?
勢いに押されてしまったゾ。

島津さんは大人しくて、休み時間に静かに本を読んでるような人なので、
色々とイメージと違うところを見てしまった。
まぁ、学校に出て来さえすればいいんですけどね。

私服の島津さんは、スマホで電話をします。
なんか、車呼んでるっぽいぞ。

駅ビルの裏の通りに回ると、外車が島津さんの横を滑るように過ぎて、
先のちょっと広くなっているところでハザードランプを点滅します。

濃紺のBMWです。
トランクのバッジが7から始まってる。
ウチのは3で、父親が、1、3、5、7、と値段が上がる、って言ってたゾ…。

歩いて行くと、見るからに専属の運転手さんが、後部ドアを開けてくれます。

「乗って。うちの車だから」
「はい…」

革張りシートなんて初めてだ…。
島津さんは窓の外を見たままで、ソッポを向いています。
怒ってんなぁ…。
車は静かで、素晴らしい乗り心地なんだろうけど、居心地は悪かった。


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