第7章 発泡浣腸の恐怖-5
第7章 発泡浣腸の恐怖(5)
「ユキ!もっと、もっと……どんどん揉み込むのよ!」
ユキは全身を使って美弥の腹部を揉んだ。揉んだ後の美弥の腹部には指の跡がついて赤くなった。美弥は苦しそうに眉根を寄せて、短い間隔で肩でハアハアと息をしている。
一方、ユキも真っ赤な顔になって渾身の力を込めて懸命に揉みつづけている。
「お願い……もう、出させて」
途切れ途切れの言葉が荒い息づかいの中から聞こえてくる。もう、何度美弥はこの言葉を口にしたことか。
すっかり冷え切って、腸の感覚が麻痺してしまった頃に排便が許されたが、勢いよく、思いきり出せないのが、これがまた拷問になった。
「うううんん……ううん。ああっ……ううん……」
力むのだが、少しずつしか出ない。ものすごい便秘のときのようだった。
いつまでも苦しみが続いている。美弥のアナルが激しく盛り上がったり、へこんだり繰り返していた。ストッパーが飛び出てしまうのではないか思わせるくらい、動きが激しかった。何か別な生き物がいるかのようだった。
(早く出させてっ!……)
「ううん……うううっん」
美弥は懸命に力んだ。脂汗が顔に浮いていた。腹が激しく上下し、腹からは大きくゴロゴロと音が鳴りつづけていた。
しかし肛門には、美弥に意志に関係なく、開きっぱなしになるようにステンレスの器具が付けられ、細かな異物も見逃さないように、出てくる内容物を二人の女が見つめていた。
アナルからは粘性を帯びた冷たい黄土色の液がチョロチョロ、ドロドロと流れ出てきいた。
「すごく、……ゆっくり」
ユキが呟いた。浣腸液を冷やしたのは、穏やかに便が出てくるようにするためという理由が、ようやくユキにも飲み込めた。
冷たさに肛門の感覚は麻痺していて、開いていいるのか閉じているのか美弥にはわからなかった。
時どきオナラが吹き出て、汚物が飛び散った。詰まったドブの水がゆっくり退くように、黄土色の汚物がステンレスの受け皿に垂れ落ちていった。腹は大きく波打ち、腹鳴りも激しく続いている。
しかし美弥の意志では、流れ出る排便を止めることもできず、勢いよく出すこともできず、どうにもならなかった。
尻の下に置かれた受け皿がそろそろ一杯になろうとしたとき、突然、キシュュュッという音がして、肛門を覗き込んでいた二人の頭の上に黄金色のシャワーがふり注いできた。
「うわぁっ、ひどいわ。……マヤ様、大丈夫ですか」
美弥の突然の放尿だった。
「もう、たっぷり浴びたわ。まあ、浣腸するとしかたないわね。それに力むしさ。それにしてもずいぶん飛沫くわね」
美弥は排便だけで無く、放尿も止めることもできず、恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
胃の洗浄液と肛門からの浣腸液のおかげで、膀胱が満杯になって我慢できなくなっていたのだ。たっぷり水分が吸収されたことと、腹が冷やされたために、放尿の時間も長く、四十秒近く続いた。
結局、浣腸液を全部出すのに、十五分近くかかった。
その間、力むために二回も尿を洩らした。しかし美弥の場合は、いつも真っ直ぐな銀線にならず激しくシャワーのように飛沫いた。
美弥のシャワーを横目で見ながら、ステンレスの受け器の中身をかき混ぜ、二人は懸命にフィルムを求めていた。
<第7章 発泡浣腸の恐怖(5) 終わり この章、つづく>