秋の始めの夜のおはなし-2
深く沈んだ色の森の中に、蛍光色のペンをばらまいたようなものがあるんだ。
ママはその前で車を停めた。僕とママは車を降りて、そこのようすを見にいった。
はじめ僕はそこが「遊園地」かな?と思ったんだ。でもそこは、教室くらいの広さの広場で、いたる所に石がつんであり、その石と石の間に、数えきれないほどのかざぐるまが挿しこまれていた。
ピンク・黄色・青・赤・緑……森の中に不釣り合いな蛍光色は、そのかざぐるまの色だった。
それだけじゃない。熊や犬やネコ、そしてさまざまなキャラクターのぬいぐるみ。お菓子のパッケージもたくさん にぎやかに置かれていた。
「産まれて来られなかった赤ちゃんを、偲ぶための場所なのね。」
ママが言った。
広場のまん中には女神さまの像が立っている。その足もとに積まれた石のすきまには、他にもましてかざぐるまが、余地もないほど挿されていた。
だけどそのまわりは、お菓子のパッケージや、破られた袋が散らかり放題だった。鳥や動物が食べたに違いない。現に、
餌付けにつながりますので、食物のお供えはご遠慮ください
と注意書がされていた。
「きまりを守らないとなぁ…」と思いながらゴミの吹きだまりになった広場の隅っこを見ていると、ママが僕のうしろから肩を抱いて言った。