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かざぐるま
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秋の始めの夜のおはなし-1

部屋で試験勉強してた僕は、そろそろ寝ようか、とイヤホーンをはずした。
いつの間にか窓の外が、荒れた天気になっていた事に気づいた。
雨がバチバチガラスに当たり、風がガタガタサッシを揺らす。
窓に顔を押しあてて、外のようすを見ようとしたら、

カラカラカラカラ……  カラカラカラカラ……

おもちゃのかざぐるまの回る音が響いてきた。あわててイヤホーンをはめたけどもうダメだ。いくらボリュームをあげても、

カラカラカラカラ……  カラカラカラカラ……

かざぐるまの音は、僕の耳の奥で鳴りつづけている。

   ─────

春、僕はママの運転する車で「郊外学習」に出かけた。
学習…なんてウソで、ホントは郊外のショッピングモールめぐりだ。
買い物をすませて、「この道を通ると、どこに出られるのかしら?」というママの好奇心で、変な森の中の道路に入りこんでみた。
昼間なのに道路の両側の森が薄暗い。だけど「県道」の表示があるから道路はちゃんとしてる。
しばらく走ってると、ママが車のスピードを落とした。
「ママ、どうしたの?」
「あれ、何? なんか変じゃない?」
前を見ると、たしかに「なんか変」なものが見えてきた。



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