〜 美術その5 〜-3
『ひもづくり』というのは、これは幼年学校でやったことがあります。 粘土を掌で伸ばして細長い土の紐を何本もつくり、紐をつみあげながら器を作る技法です。 ただ、幼年学校では手で紐を作れた一方、学園では『乳房』『オケツ』『お股』のどれかで粘土を挟んで伸ばすそうです。
先輩の器は縦長の円柱でした。 紐づくりは、粘土をオケツに挟んで締めつけ、オケツごと美術室の粘土板に擦りつけながら伸ばしたそうです。 そうして作った紐粘土を巻き上げ、口の周囲の粘土を捲り、ふちに丹念に爪でもって筋をつけます。 筋の本数は、アバウトな先輩には珍しく、自分の生徒手帳を確認して肛門の皺数とキッチリ同じだけ作ったんだとか。 で、作品タイトルは『息むケツマンコ』……確かに、言われてみればそっくりです。 肛門の皺が伸びきって薄くなり、
排泄物が出かかるときの隆起は、同室の私からすれば、排泄のお手伝いや朝のご挨拶の時に見慣れた先輩のオケツでした。 同時に先輩の器の口の様子そのものでもありました。
『板づくり(たたらづくり)』というのは、必要な粘土板を切り取り、接着面にヘラで傷をつけてから『どべ(粘土を水で溶いたもの)』を塗り、板同士を張り付けて成形する技法です。 学園のドベは膣汁あるいは腸液、もしくは唾液でもって粘土を溶いてつくるそうです。 作り方にも指定があって、膣汁で作る場合、粘土を膣に入れてから自慰に励んで溶かします。 腸液の場合は肛門に粘土を捻じ込んでから、粘土の排泄と再挿入を繰り返してドベ化させます。 唾液の場合、粘土にかぶりついて口の中でしゃぶりながら、丹念に唾液を絡めて液状に変えます。
先輩は『口』でドベを作り、数枚の小さな粘土板に舌で塗りつけ、組み合わせることで『お猪口』を作っていました。 文字通り『窄めた唇』の形をなぞったお猪口で、『じゅぽじゅぽ』と名付けたそうです。 『う〜』という声が聞こえてきそうな、厚ぼったく、テラテラとてかった唇の陶器を見ていると、まるで自分のクリトリスをしゃぶられているような、或はオケツに吸いつかれているような気がして、なんだか下半身がムズムズしました。
『轆轤(ろくろ)づくり』というのは、陶芸で最も発達した技法です。 轆轤(ろくろ)に粘土の塊を叩きつけ、轆轤を回転させながら、粘土を高く盛り上げたり、押し下げたりを繰り返します。 つまみながら両手で上を伸ばしていって、口元を絞り、針金で底をきって轆轤から外せば、ハイ完成――これが普通の使い方ですね。 学園ではそうはいかず、轆轤に手を使ってはいけません。
粘土の塊を轆轤に叩きつける所までは一緒です。 そして、粘土の中央に棒を挿し、真っ直ぐな細い孔を開けます。 ここが作品の中央になるわけですね。 次に轆轤を跨ぎます。 膣を轆轤の真上にもってゆき、ゆっくり腰を落としながら、捏ねて柔らかくなった粘土に下半身を押しつけるんです。 そうやって、膣に轆轤上の粘土を押し込むことで成型します。 下半身を押しつけるといっても、生半可な力じゃ粘土が凹んで終わりです。 仮に力づくで押し込んだところで、膣が閉じてしまえばオマンコの型がつけることにしかなりません。 膣口を緩めつつ、膣が外側に広がりながら粘土を呑み込めるように体勢を工夫し、異物に侵入される膨満感に耐え、冷たい粘土を胎内奥まで迎え入れます。 その上で十分に轆轤を回して、膣の襞で粘土を擦り、膣型に成型した粘土を轆轤から切りはなせば完成です。 切り離すための針金なんてありません。 お股の内転筋を収縮させ、膣口を窄めることで粘土を契ります。 花電車のバナナ芸みたいなものです。 ただ、バナナと粘土じゃ固さが全く違います。 轆轤は一番最後が一番大変で、切り離す段階の生徒は一様に真っ赤な顔をし、汗まみれ、汁まみれになりながら必死で膣を締めることになるそうです。
轆轤の使用方法に制限があり過ぎるため、できた作品はどれも似たような作品にしかなりません。 最初に空けた中央の小孔を粘土が取り囲んだ器で、『一輪挿し』という扱いです。 先輩の作品はぐねぐね曲がった歪な形で、作り方を知らなければ『ぐちゃっとして汚いなぁ』としか思わないでしょう。 でも、私は膣で押しつけ、膣口でねじきるという、過酷な作り方を知っちゃいました。 先輩の作品にしては大きさも小さく、それでも精一杯膣で頬張った粘土だと思うと、胸が痛くて何も言えません。 花を活ければ『おまんこで花を咥えた姿』になるため、名前は『オマン華』と付けたそうです。 作るときの工夫がありますか、と尋ねたら『やってみたらわかりますよ〜』と軽く流されました。 その時の【B2番】先輩は、顔は笑ってましたけど、目は全然笑ってませんでした。