〜 美術その5 〜-2
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木の次は『紙』です。 画材を載せて絵を作る側面が強調されているものの、紙だって立派な工作素材です。 曲げる、切る、貼りつける、といった使い方に加え、折る、という紙にしかない個性を活用すれば、牝の恥ずかしい本性を様々な角度から表現できます。
1つ目は『折り切り』といって、細かく畳んだ紙片の一部を切り抜きます。 すると綺麗な切跡が規則正しく並び、網目様の模様が浮かんでくるんです。 もっとも浮かばせる模様は、例えば臍の皺であったり、オケツの穴だったり、チツマンコだったりと、どれもオマンコ臭い柄ばかりでした。 【B2番】先輩が作った模様は『チツマンコを模したひし形の内部に2つの穴――膣口と尿道口――をあしらった図形』で、眺めているだけで饐えた香りが漂ってきます。
2つ目は『折り紙』といって、正方形の紙片を折って立体をつくります。 ハサミを使うことなく、龍や虎、カメやセミが一枚の紙から現れるから驚きです。 先輩が折ったのは俗にいう『やっこ』で、手前に指を4本入れると『口を上下左右にパクパクさせる折り紙』になります。 先輩は『指を四本さしまして〜お口をくぱくぱ開きます〜おまんこ、おしっこ、くぱくぱ、くぱくぱ♪』と即席の鼻歌を歌いながら、折り紙を上下左右に拡げました。 歌が無ければ普通の玩具だった折り紙が、あっという間に卑猥な所作に早変わりです。 歌詞は頭から離れてくれないし、もう純朴な気持ちで折り紙を眺められそうにありません。 仮に私が先輩と同じ形を折ったとして、それは『やっこ』じゃなくて『おまんこ』になっちゃうんでしょうね……。
3つ目は『二つ折り・折り紙建築』といって、等分した紙の切り目を境にカッターナイフで切り目を入れて、一枚の紙を折ったときに立体造形が飛び出すようにしたものです。 城でも神殿でも何でも作れるんですよね、これ。 とはいえ先輩が作るのは、教官から使嗾(しそう)の類があったからでしょうが、鏡に写した自分の膣でした。 大陰唇、小陰唇、恥丘、クリトリス、クリトリス包皮といった股間を構成するパーツ1つ1つを丁寧に並べ、ひとたび紙を折れば、本物そっくりなおまんこが切れ目が入った紙から立ち上がります。 工芸として見栄えがいいだけに、おまんこをモチーフにするという現実が哀しくなりました。
4つ目は『二つ折り・切り紙』といって、二等分した紙の折り目を境に図柄を切り抜くと、切り抜いた図柄が左右対称になって手許に残るというものです。 牝の体で左右対称といえば、膣やオケツ、臍や唇、鼻に耳とあらゆる部分があがってきます。 その中で【B2番】先輩が表現しようとしたのは、二つの管が繋がった大きな臓器――子宮(子袋・牝箱・種場ともいいます)でした。 綺麗な左右対称になっている紙製の子宮は、本物と違って、ぬめることもてかることもなく、楚々とした慎ましい佇まいでした。
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紙が一段落したところで、工芸といえば陶芸ですよね、器づくりを教わります。 私たちが学園で使用する食器は全てプラスチック製ですが、入園以前の生活では、陶製の食器がほとんどでした。 私達が使っていた形式の器を、自分の手で作れるというのは、そこはかとなく嬉しいです。 もっとも、牝性に忠実になるという名分のもと、恥ずかしく、みっともないデザインにしなければいけません。 『自分を見つめる、観察する』とは、学園では『価値が低い、淫らで、いやらしく、みっともなく、恥ずかしく、惨めで無様でだらしない牝のオマンコ精神を描写する』ことを意味します。 静かに取り組む陶芸中だって、例外にはなりません。
『手びねり』というのは、土の塊に手を突っ込んで、指で中身を抉(えぐ)りながら成形する技法です。 下の方から『厚みを一定にすること』に気をつけつつ、固まりの底がバレないように、粘土の固まりをつまみあげるそうです。 粘土は後から千切ったりはったりできますから、少々失敗しても大丈夫です。
【B2番】先輩が作った作品は、歪んだひし形の口――というよりは、先輩自身の膣ですよねー―を備えた『茶碗』でした。 茶碗のふちがこんもりと隆起しているのは、大陰唇を表しています。 ふちには所々窪みがあり、窪みの部分で陰唇の輪郭がガバッと外へ広がっていました。 先輩によると『10本の指で限界まで拡げた膣を象った茶碗』で、タイトルが『おっぴろげチツマンコ』です。 成形の仕上げは、実際に『膣』を再現した粘土を股間に挟み、自分の膣を拡げる要領で粘土に指を添え、グニュウ、力を込めて拡げたそうです。 すごく写実的なお茶碗だと思って見ていましたが、作り方からしてリアル過ぎだと思いました。
『つちまぶし』というのは、土の塊を何かに貼りつけて型をとる技法です。 捏ねた粘土を乳房に塗りつけたり、粘土板にお尻を押しつけたり、がに股をつくって粘土の塊を股間にめり込ませて作った型は、場合によっては型そのものが作品になりえます。 【B2番】先輩は、粘土をお股で挟んで取った型――陰唇の襞が波うち、所々地肌がよれ、ピンピンに勃起したクリトリスの包皮が捲れていました――でもって作った『箸置き』を見せてくれました。 名前は『絶頂するくりまんこ』……箸置きに太目の箸をおいた所は、オマンコに棒を挿入したようだったり、或は箸でクリトリスの恥垢をほじってもらっているようだったりで、何ともいえず卑猥です。