母親-1
足がふんわりと浮くように軽い、好きな人の家に行くとそうなるものなのか。休みの日特に理由はないけれど若葉ちゃんに会いに行く僕。
目の前に佇む青果店、彼女の保護者で同居人のお爺さんが経営しているお店、見たところ
営業中ではあるもののお客は今の所ゼロのようだ。
祖父思いの彼女は良く店番や取引先の店に共に行ったりするそうで、店以外にも手料理を
彼に作ってあげたりも…、ちょっと羨ましいな。
佐伯君曰く彼女はとっても料理が得意で家事もテキパキと熟す、彼が彼女と別れて居なければ将来共に買い物をし、美味しい料理を毎日作ってもらう約束をしたそうで。
…僕もいつか若葉ちゃんと結婚して彼女の愛情たぁーぷりの美味しい料理を毎日食べられるのかな?
そんなイメージを思い浮かべウキウキと彼女の居る店へ入る、すると。
「うん?」
床に何故かスイカが散乱している、というか店を開けているのにさっきからお爺さんの姿がない、頭上に?マークを浮かべ、一歩前に出ると。
「お、お爺さんっ!?」
床に横になって倒れている彼を目の当たりにし、すぐさま駆け寄る。
「どうしたの?しっかりしてよ!」
「うう…。」
どうやら意識はあるようだ、けど片足肘を抑え、苦痛の表情を浮かべる。
「まぁ!どうしたの、風馬君!?」
二階から僕の声を聞き、降りてきた若葉ちゃん。
「大変だ!お爺さんが膝を痛めて倒れた!」
「えっ!そんなっ!」
「すぐに救急車を呼んでっ!」
それを聞いて嫌そうにするお爺さん、でも営業中に倒れたくらいだ、きっと僕が来るずっと前からあぁだったんだ、これは重傷だろう。
「すぐに駆け付けてくれるって。」
「うん!じゃー来るまでの間、緊急処置をしよ、居間は何処?後包帯を持ってきて!」
そう指示し、軽く居間を指刺し僕は彼を担ぎ彼女は急いで包帯を持ってくる事に。