母親-2
「ううっ、お爺ちゃん。」
祈るポーズをし、不安な表情を浮かべ震える彼女。
お爺さんが倒れ病院に連れてかれ、治療を受け…そして唯一の肉親である彼女が心配そうに苦しむ。この状況は今回が初めてじゃない、変わったのは隣で震える少女が僕の恋人であると言う事実。
「大丈夫、彼なら平気だよ。」
「でも、でも…。」
怯える彼女を安心づかせるように抱きしめる。
僕は僅かに時間があった時に買っておいたホットのミルクティーを差し出し、それを飲む
彼女。
「どう、落ち着いた？」
「うん、ありがとう。」
その言葉は飲みものをくれた事に対してだけではないらしく。
「ついさっきまであんなに元気に品出しをしてたのに。」
どうやら彼女も彼の膝が不調である事に薄々気づいていたようだ、けれども彼は気性に
振舞い、それにすっかり安心しきり事実で過ごしていたら僕の叫び声が聞こえたそうで。
「お爺ちゃん、頑張り過ぎなのよ…私の為に。」
「若葉ちゃん…。」
前にも聞いた事がある、彼女の母親が娘を残し家を飛び出し残された父親が育てていた
ものの、彼女が高校へあがる直前に事故で…。その時の葬式で引き取ったのが彼で。
「彼もまた護るべき人が出来たから。」
「でも、それだけじゃないと思う。」
「え？」
老体に鞭に鞭を入れている状態、ずっと前に脳梗塞で倒れた時からますます気性に振る舞って。
「本来なら店何て畳んで、入院しなきゃいけないのに。」
「……。」
「私の、せいだ…私が引き取られたがあまりに。」
「やめなよ、彼はそんな事絶対思ってないよ。」
「でもっ！」
やはり彼女からしたら気になるよね。
「おーい、若葉ぁー！」
「っ！！」
診察を終えた彼が何事もなかったかのように陽気に僕らの元へやってくる。