温泉旅行-8
駅に近づいてくると
少し民家が増え
小さなお店も見え始めた
大きな国道はあるけど
そこから外れると
普通に田舎の道だ
小さなスーパーを見つけたあたりに
駅の看板を見つけた
駐車場より 駐輪場の方が面積が広そうな
小さめのロータリーに入っていく・・・
小さな駅舎に 数人の人影はあった
「隆、スマホのマナー 解除したら ばれちゃうかもよ」
「そうだな、気を付ける」
≪ (彩香→翔) 駅の前についたよ≫
≪ (翔→彩香) やっぱりね 見えてたよ すぐ行く≫
俺はそのスマホのメールをちらっと見てから
車のサイドに収納した
フロントガラスの方向から
見覚えのある男の姿が近づいてくる
白いシャツに チェック柄のパンツ姿で
翔が俺たちに手をあげた
俺は窓を開けてみる
「待たせたね」
「大丈夫 逆に 駅が見つけにくくなかったか?」
翔は 笑いながら 俺と彩香を見た
「街には ナビってのがあるからね」
「知ってる」
三人で会うのは 半年ぶりか・・・
懐かしいという感じではない
翔は 少しの荷物を後部座席に置き
その横に座った
「いらっしゃい ここが 今 俺が住んでる町だぜ」
翔はすこし笑いながら俺たちに話しかける
「思ってたより小さい町ね」
「でも 北と南に工業団地があって そこで働いてるんだ」
彩香も いつもと変わった様子を見せないで話していた
「じゃ 今からどうする?」
俺は ナビを触りながら話す
「まだ早いだろ 少し観光案内するよ」