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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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愛おしい彼-4

私は陸で彼の練習っぷりをボー然と見つめる。

「コーチはいい、僕一人で頑張る。」
「…そう?じゃー気を付けてね、怪我しないでね。」
「うんっ!」

一生懸命に体を動かし、弛みなく練習に育む風馬君。

まるで姉と弟、いや母と息子。

子供のように無邪気な彼がさっきから可愛過ぎる、私からの特訓を断ったのだってきっと
自分一人でも出来る所を見せつけたいのだろう、要は背伸びしたいんだろう。

そう思い努力する彼を見つめるとますますキュンキュンする。

さっき思わず風馬君を手に掛けてしまったのは彼が好きだから、そしてここがプール場と
言う、男女が肌を肉体を堂々と公共の場にさらけ出す場故に、彼の可愛らしいガリガリでもなく肥満でもなく、ゴツゴツしてる訳でもない柔らかい小麦粉肌を目にする事が出来て
そのせいで。

私達以外にも若いカップルは沢山居る、それに何となく目をやっていると元カレの佐伯君
と早乙女先輩の事を思い返す。

先輩と朝学校で会い、何処かそわそわしていて、聞くとどうやら佐伯君から告白を受けた
らしく、舞い上がるように喜ぶ彼女、普段大人っぽい彼女が子供のようにはしゃぎ。

それから言葉通り、佐伯君の方から先輩の所へ行き色んな所に連れてってあげたそうだ。

元カレが嘗ての恋敵と結ばれる、複雑な気持ちは捨てきれないけど私は素直に大事な友人の幸福を祝福する事にした。

「若葉ちゃんっ!」
「ん?どうしたの。」

そうこう思いに老けているとプールからぱぁと明るい表情を浮かべる彼が居て。

「だいぶ泳げるようになったよー♪」
「本当?」

すると早速見せつけるように泳ぎ出す。その動きはとても俊敏で先ほどのぎこちない動きとは見違えるようで。

「わぁー、凄いすごーいっ!」
「へへっ僕、頑張ったでしょうっ!?」

得意げに自慢し出す彼。その眩い笑顔にまた胸がキュンキュンする。彼も陸に上がり。

「さてっ、折角だし他の所で遊ぼうよ!」
「そうだね。」

苦手克服でコーチをし、競泳プールで練習するだけではつまらないものね、それから私達
は定番の流水プール、そしてウォータースライダーを愉しむ事に。


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