〈狂育〉-27
『怖くない、怖くないよ?お兄ちゃんが守ってみせるから』
申し合わせた通りの演技だと知っている長髪男は落ち着いたもので、慌てる様子もみせずに目的のドアを開けて中に入った。
『もう大丈夫だよ?亜季ちゃん、ここは安全なんだから』
「ひぐッ!ヒック…ズズッ…ヒック…ッ」
亜季は長髪男の首にしがみついたまま、まだ離れようとしない。
肌にまとわりつく湯気の湿り気と、仄かなシャンプーの香りに亜季はようやく顔を長髪男の胸から離すと、チラリと視線を辺りに向けた。
『そろそろ降りようか?お兄ちゃんが身体を綺麗にしてあげるからね?』
亜季はビロード色の絨毯の上に下ろされると、戸惑いながら辺りを見回した。
十二畳程の広さがある部屋は、ちょうど真っ二つに仕切られおり、絨毯の敷かれた手前側の床にはダブルベッドがドン!と置かれ、テレビやDVDプレーヤーや冷蔵庫までも備えられていた。
そして一段低くなっているバスルームは、大理石調のタイルが張られた床に真っ白で大きなバスタブが設えられており、銀色に輝くエアマットが立て掛けられていた。
この部屋は、ある種の教育を受けた“嬢”が、客である男をもてなす為の空間であるのは疑いようがなく、しかし、まだ子供である亜季がそれを知っている訳は無かった。
『コッチおいで……この排水口を跨いでお尻を突き出しなよ。お尻に付いたウンチを流してあげるからさ』
亜季は嫌がる様子もなく、素直に長髪男に従った。
玩具による幼豆責めと、それに伴う失禁。
そして性器責めと同時に強要された男根への奉仕と精液飲みと、その直後の屈辱の排泄……。
ただでさえ酔いの最中だろうに、次々と辱しめを受けさせられた精神に、まともな思考力などと言うものは殆んどあるまい。
「お家に…ヒック…お家に帰る…ズズッ…もうやだ…やだもん…ッ」
亜季の足元に現れた渦巻きは、最初のうちは黄土色に汚れてはいたが、程なくして無色透明なものへと変わっていき、あとはほんのりと静かに湯気を発てた。
ある程度は綺麗になったと思った長髪男は、壁に立て掛けられていたエアマットを床に敷くと、枕のように高くなっている部分にタオルを敷き、亜季に手招きをしてマットの上に座らせた。
『そのタオルに顔を乗せて、大の字になって俯せになって?お兄ちゃんが身体を綺麗に洗ってあげるから』
プラスチックの洗面器に大量のローションを流し入れ、更にボディーシャンプーとお湯を入れると、両手をクルクルと回すようにして撹拌した。
亜季はセコセコと準備している長髪男を尻目に、言われるがままにマットの上に俯せになっていた……。