〈狂育〉-28
「ひいッ!?」
暫しの沈黙の後、トロリとした温かな粘体が背中に掛けられると、亜季は息を詰まらせて変な声をあげた。
トロトロと背中に滴る粘体は擽ったく、その温かさは気持ち良くもある。
肩や二の腕、そして太股や脹ら脛まで温かな粘体に包まれた亜季は、その心地好さに溜め息を禁じ得なかったが、長髪男の指先が背中を滑った瞬間、その呑気さは微塵に砕けた。
「あッ…!?あぁッ！」
ヌルヌルと滑る肌の上を撫でる指先の感覚は、まるで唾液を垂らした何物かの舌で舐められているよう。
背筋に沿ってなぞられても、脇腹をスルリと撫でられても、亜季の身体は瞬時にビクンと跳ねてしまい、出してはいけない声が漏れてしまいそうになる。
『ほらあ、なんで姿勢を崩すんだよ。これ以上お兄ちゃんを怒らせたら、絶対にお家に帰してやらないぞ』
「ご、ごめんなさ…ひぃッ!?お兄ちゃんごめんなさい…ッ」
指先は胴体を一頻り撫でた後に尻肉に向かい、その貧弱な丸みしかない小山をスルスルと撫で回しだした。
尻肉はローションを使った初めての愛撫に悶え、割れ目の中心に鎮座している肛門までも甘美の動揺に震えていた。
『お兄ちゃんが用意したパンティにオシッコするしウンチはするし……なんでそんな嫌がらせばかりするの？そんな亜季ちゃんはお兄ちゃん嫌いだよ……』
「ひゃあ…ッ!?ご…ごめん…な…さいぃッ！」
尻肉を滑り回る指先は割れ目まで往復するようになり、焦らすように掠めていた肛門にピッタリとくっついた……亜季は一瞬だけ脚を閉じようとしたが、どうにか踏み止まって姿勢を維持した……。
(そうそう、そうゆう亜季ちゃんが大好きなんだよ……イイ娘だ…ホントにイイ娘だ……)
帰宅への熱望を餌にした数々の強制は、亜季の気付かないうちに心の中の襞に服従を擦り込んでいた……。
『帰してやる』と言われれば言いなりになるしかなかったし、『帰さない』と言われれば、やはり言いなりになるしかなかった。
長髪男が尻肉を握り、恥ずかしい割れ目を開いても亜季は悲鳴を詰まらせるだけだったし、太股に掌を滑らせて開脚を指示すると、僅かな躊躇いの後にゆっくりと股を開いた……。