IFP-序章--3
俺たちの周りに人だかりができる。
「うわ!!いったそ〜。血がいっぱいでてるぅ〜。」
「誰か救急車よんだのかよ?」
「どうやらひき逃げみたいだな。」
「かわいそうに、この出血量だったら助からないだろうに。」
慎介をみながら野次馬が勝手なことを囁く。地面には綺麗な赤い花が咲きはじめ、慎介自身からゆっくりと花びらがひろがってゆく。
誰かが救急車を呼んだのだろう、遠くからサイレンが聞こえてきた。
どうしてだろうか、目の前のことがテレビ画面の中のように感じる。慎介に駆け寄ってやらなければならないとわかっているのに、体が動かない。暫く俺はじっと動かずに慎介を眺めていた。