秘密-2
夜の10時。
ちづるの家のインターホンが鳴ると、
すぐに家の鍵が開いた。
パジャマ姿のちづるが、
玄関のドアからひょっこりと顔を出す。
タクミを下まで見ると、ちづるが言う。
「あれ? 制服?」
「 ぁ、、 。」
「 珍しいね。
あ、入って。」
「うん、、。」
ちづるはパタパタとキッチンに向かい、
やかんに火をかけた。
タクミは部屋にすぐ入らず、
ドアの近くで立ちすくみ
ぼんやりとちづるを眺める。
「、 、 、 、、。」
いつも通り か。
そういや、前に旦那が
物を取りに来たときも
全然 普通だったっけ
でも あの時はちづちゃん
旦那と会っては いなかったよな
「紅茶でいーい?」
「、んっ? うん。」
「? どーしたの? 」
「、ぁーー ううん、 、」
「 ?」
「おじゃましまーす。」
タクミは部屋に入ると、
茶色のソファーに座った。
紅茶を入れているちづるの後ろ姿を
ぼんやりと眺める。
タクミの脳裏に、
駅の改札に入った旦那を見送り、
手を振っているちづるの姿が浮かぶ。
ふと、ちづるが言う。
「美味しかった?」
タクミはハッとする。
「 、、、んっ? 」
「 ?
ラーメン、新しいお店?」
「、 、、うん。」
「南口は、
最近ラーメン屋増えてるよねー。」
「、 、、ん、。」
「、 、? 」
タクミ君
なんか 元気ないなぁ
ちづるは
紅茶を2つテーブルに置くと
タクミの隣にピッタリと
近い距離に座る。
タクミがちづるの顔をじっと見る。
「、 、 、、、。」
「、、?
ぁっ、 ごめん
近い? 」
「 え?」
ちづるは少しお尻を浮かせて移動する。
タクミと距離を取り座りなおす。
それを見てタクミが言う。
「、、近くないよ。
遠い。」
今度はタクミがお尻を浮かせて、
ちづるの横にピッタリと
近い距離に座る。
ちづるは嬉しそうに、
タクミの肩に頭を預ける。
紅茶の入ったマグカップを
眺めながら、ちづるが言う。
「、、何か、あった?」
「、え?」
「少し、、
元気ないみたいだから、、。」
「、 、 、、。」
「、 、 ぁ。
もしかして、」
「、、え?」
気がついたか?
言うか ?
「昨日の事、気にしてる?」
「 え? 」
昨日 ?
「私が、嫌な事言ったから、、」
「嫌な事?」
「、、タクミ君を
嫌いになる夢を、」
「っ ぁーーー、、
はい はい、
昨日の ね 、」
なんだ それか
「、 、、ふふっ、
違ったかぁーー。」
「んーー?
まぁ 、」
「私が原因じゃなくて
元気なくなる事もあるよね?
学校だって、あるんだし、、。」
「 、 、 、、。」
「無理には、聞かないけど。
愚痴とか、
言いたくなったら言ってね。
聞く事しか出来ないけど、、。」
「 、 、 、、。」
「あ、。
これ飲んだら、お風呂入る?
今日もお風呂、ためてある、」
「〜っ、ちづちゃん ! 」
「 ? なぁに?
〜っ、 ! 」