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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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稲葉明日香-5

「さぁ!観念なさいっ!」
「くっ!……。」

作戦通り、稲葉さんの…手下?をおびき寄せ状況を聞いた警察がそこから更に尾行をし
巴ちゃんが奇襲されそうになった所を逮捕してくれて、さりげなく松葉杖で急所を狙い
それから「恐かったぁー💛」と警察の前で甘い声を出して、正直貴女の方が恐い。

何故か学校の屋上に追い詰めた私、巴ちゃん、一条君、それに風馬君。

案の定助けに応じてくれた佐伯君、彼曰く大事な親友の為で、今の状況を聞いた早乙女
先輩も手を貸してくれて、青森から警察署へ彼を案内してくれて。

「風馬、君。」
「稲葉…さん。」

気まずそうな二人。

「どうして?」
「えっ。」
「何で彼女と付き合うのよっ!」
「それは…。」

理由は風馬君が私を好きだから…、けど事はそんなシンプルな話じゃない。

「…君にはとっても感謝しているよ、一緒に映画を観に行ったり、クラスの子に責められた時も必死に庇ってくれて。」
「……。」
「ただっ!若葉ちゃんを二人を傷つけた事は許さないよっ!」
「う…。」

声のボリュームをあげ、怒鳴る彼、ここ2、3日前までは目を吊り上げ憎しみの炎をあげていたというのに、今じゃすっかり戦意喪失し、あの勢いはすぐに消え失せた。

「だけど君は加害者であると同時に被害者である事も変わりない、稲葉さん。」

彼女に近寄り、そうゆっくりとした口調で語り、そして深々と頭を下げ。

「色々と助けて貰ったのに、傷つけて本当にゴメン!」
「風馬、君。」
「でも若葉ちゃんと別れる事は出来ない、大好きな人だから…。」
「分かってる。」
「だから、これからは友達として仲良く出来ないかな。」
「こんな私にどうしてそんな事が言えるの?」
「え?」
「…だって私、貴方を警察に突き出したのよ。」
「確かに一瞬驚いたケド佐伯君を刺したのは事実だし。」
「でもそんなのっ!」
「分かってる、でもあの時連行されたのは彼を刺したからじゃなく、君の想いに気づかなかったから、そんな感じがして。」
「柊さんを傷つける目的でやったのよっ!?伊吹さん達も襲って…。」
「それは流石に許せないけど、傷つける…って事で言えば僕等も同じ事。」
「風馬、君。」
「君は絵も上手だし、あぁやって困ってる人がいたら勇気を振り絞って助けに来てくれる
そんな君ならきっと良い人が見つかるよっ!」
「……。」

彼女は実に険しくも苦しそうな顔をしつつ、何を言うでもなく屋上を後にした。

「稲葉、さん…大丈夫かな。」
「…きっと大丈夫だよ、彼女は本来明るく前向きな子だから。」

心配する私の肩をそっと掴み、彼女の去った扉を見つめる。

次回、35話に続く。


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