て-9
「次の日曜日にお互いの親に報告した後、式場を探しに行こう」
「え?」
エッチが終わった後の、緩やかな空気の中で
啓が私を抱きしめながらぽつりと言った。
「1番早くとれる日に結婚しよう」
「え?え?」
「何?不満?」
「え?不満じゃないけど、急だから」
「俺の中では急じゃない」
満足げに笑うその顔をさせられるのは私だけ。
そう思えることがとてもうれしい。
「急じゃないんだ?」
「急じゃない」
「でも、私を重田さんに譲ろうとしたじゃない〜?」
「重田さんは関係ない。
明日香が幸せになることだけが俺の願いだから」
真面目な顔をしてそんなことを言うから
「啓が幸せにしてくれるんでしょう?」
そう言った私をじっと見つめる。
「明日香はそれで幸せか?」
啓は自分よりも人の幸せを考える。
その中でも私の幸せを1番に考えてくれている。
「もちろんよ。
啓じゃなきゃ幸せになれない。
啓が私を幸せにして!」
「俺が―――俺が明日香を世界で2番目に幸せにしてやる」
「1番じゃないの?」
笑いながらそう聞けば。
「世界で1番幸せなのは―――俺だ」
I am the happiest person in the world!