て-4
今日私が重田さんに会うと啓が知ったら
私と重田さんが接点を持つぐらいなら
自分からこのキャリアを降りると言い出すにきまってる。
私のせいでそんなことはさせない。
チームのメンバーと忙しいながらに、やりがいのある顔をして仕事をしている啓をそっと見つめて
決心を固くする。
紗江子ちゃんは一緒に行くって言ったけど。
それはダメ。
万が一、啓にばれたときに
紗江子ちゃんまで巻き添えにしてしまう。
もし、今日私が重田さんと二人で会うと知ったら
穏やかな啓は烈火のごとく怒るだろう。
あぁ、啓が怒るなんて私愛されてるんだな。
怒るって確信できるなんて
啓に愛されている自信があるんだな。
ありがとう。
私に「愛されている」と自信を持たせてくれて。
だからこそ、私は重田さんと私自身が決着をつけなきゃいけない。
例え、それが啓にばれて
私たちが上手く行かなくなったとしても。