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君が泣かないためならば
【女性向け 官能小説】

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「企画の森川君と付き合ってるんだって?」
「・・・・」
「今企画に行ったら、はっきり牽制されたよ。
明日香の居場所を聞いたら会いに行くなって言われた」
「・・・・」

「本当は俺を見張るために森川君もここに来たかったんだろうけど
今手がけている資料を早急に仕上げなきゃいけなくて
チームで必死に作ってるから抜けられなかったんだな」

そして何も答えない私に

「明日香、今夜は空いてる?」

そう続けた。

「何っ!」

椅子から立ち上がらんばかりに怒りを表面に出す紗江子ちゃんも珍しい。

「武田さん。武田さんは俺が気に入らないかもしれないけど
これは俺と明日香の問題だ。口を出さないでもらおうか」

そう言った重田さんに紗江子ちゃんは何も言わなかった。

そして紗江子ちゃんにも聞こえない程の小さな声で
そっと私に耳打ちする。

その言葉に続けて
「7時に。あの店で」
そう言って、含み笑いをしながら重田さんは食堂から出て行った。

「明日香!」

その後ろ姿を見送った後、紗江子ちゃんは機嫌の悪い声で私を非難した。

「ごめ。大丈夫。啓には黙ってて・・・」
「明日香・・・・」

私は、行かなきゃいけない。



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