再び、青森へ…-4
バスに乗りながら青森の街を見渡す、これもまた観光の楽しみだ。
佐伯君達が待ってる温泉まで徒歩だと時間が掛かるので、バス停前にその目的地があると
言うのでもうバスを利用しない手はない。
風馬君は恋敵である佐伯君に会ってくれると言ってくれた、それはとても嬉しい事だ。
それなのに私ってば徐々に元彼の待っている温泉へ近づくバスに不安を覚える。
彼は今どうしてるのだろうか、優華さん達を上手くやっているのだろうか、少しは忙しさから解放されたろうか、早乙女先輩とはどうしているのだろうか…。
……。
駄目だ、彼の事ばかり考えてしまう。
早乙女先輩が青森まで押し掛けて来た時最初は何て事って思った、けど人生とは分からないもの、今じゃそれが彼女にとっても、そして私にとっても良い行動となった。
「若葉、ちゃん…。」
「風馬君、ゴメン…また彼の事考えちゃった。」
歩き疲れた私に気遣って席を譲ってくれた彼、隠し事はしないようにし思った事をそのまま口にした、例えそれが不利な事であっても。
返答はなく、口を閉だす彼…、この考えを彼は常に嫌う、けど。
「良いんだよ、別に。」
「でもっ!」
彼は怒る事もなく、にこっと笑い、上から私の頭をポンッと撫でる。
「前にも言ったでしょ?気にしちゃうのは仕方のない事、それが君の良い所でもあるんだから…。」
「……。」
「そりゃー好きな人が別の男の事で頭が一杯なのは気に障るけど、でも…僕は信じてるよ
僕が好きだって事を。」
「…ありがとね、今日は態々彼にあってくれて。」
「ううんっ!これは自分の為でもあるんだ。」
「へっ?」
「幾ら青森に居て会う事はほとんどないし、会う義理だってない、けど分からないでしょ
何時何処で会うか何て、それに嫌なんだ、人を憎んでこんな形で君と付き合えるように
なっても後味悪いし。」
「風馬、君。」
「それに今思えば良い人っぽいよね、面倒見が良さそうっていうか、ほんと君の言うように根は優しいんだね。」
「……。」
その言葉に天に舞い上がるように嬉しい、やっぱり彼は彼だった。
「僕、友達になりたいな…。」
「っ!!」
好き過ぎて感情が溢れ出そうだ、私は軽く辺りを見回した後、彼の頬にキスをした。
「っ!若葉、ちゃん?」
「…だぁーい好き、君と付き合えて本当に良かった!」
私と彼だけの空間、前の席に居る巴ちゃんと一条君だけは知って居る。
「いやはや、青春だねぇー。」
「僕、友達になりたいな……、はぁはぁ。」
「……。」