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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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新しい恋人-5

「へぇーここが。」

私に巴ちゃん、一条君にそして佐伯君…4人が良く集まって談話したり時にはめでたい事を祝う席で利用する馴染みのラーメン店。

私は思い切って風馬君をその私たちの拠点住処のようなこの場所に巴ちゃん一条君も誘ってみた。

彼は不思議そうに辺りを見回す、私も去年まではそうだったように。

「おぉーう?見ねぇー顔だなぁー友達かいー?」

馴染みの店主さんがまじまじと彼を不思議そうに見つめる、私はそれに。

「恋人です!」
「っ!!」

と、彼の腕を両手で包む。

「…そっかぁー。」

店主も幸い散策しないでくれた。

「で?何にしやす?」
「え、あーじゃーバターコーンラーメンで。」
「はいよっ!」

未だぎこちない彼。

「ったく、人生分かんないね…嘗ての凶悪犯がまさか私らの敷地に来るなんて。」
「伊吹、さん。」

巴ちゃんをこうして呼ぶのは初めてかな、彼女もいちいち突っかかる事はなく。

「あたるを刺したけど警察に突き出さないで、して今度は彼をこの店に、いや仲間の一人として受け入れて、だなんて。」

私はそんな事一言も言ってないけど、ここに二人を誘い、この店に誘うという事はそういう事だろう。

「あ、あの伊吹さん一条さん。」
「………。」
「何よ。」

私は良くてもやっぱり二人は。彼は二人の方へ面と向き、そして。

「あの時は本当に御免なさいっ!!」
「……。」

急に頭を下げられ驚く一条君、でも巴ちゃんは動じず彼を睨みつけたまま。

「風馬、君。」
「謝って済む事じゃない事は充分承知しています!でもっ、でもっそれでも。」
「……う、うーん。」
「ふざけないで!」
「巴ちゃん。」
「謝って済む事じゃない?んなもん当たり前でしょっ!アンタの身勝手彼を、若葉を。」
「……。」
「あの時とっても大変だったわ、今にも警察に突き出してやるっ!ってそれでもこの子が
駄目っていうから。」
「巴…。」

やっぱり二人共、許せる筈が。すると彼女は少し間を置きお冷を口にし、冷静を保ち。

「……でも、アンタの気持ちも分からないでもないし、アンタに騙されたとはいえ私自身
この子を傷つけてしまったのも事実。」
「…止められなかった、未然に防げなかったのに君一人に責任押し付けるのもね。」
「一条君…。」

それから巴ちゃんは自分の皿にのっけてある餃子を一つ彼の皿に移してあげて。

「伊吹さん…。」
「この子が熱心にアンタの事語り、それから私も良く考えた、そして思ったのよ、案外
アンタも根は良い人なんだって。」
「巴ちゃん!」
「人を憎み続けるのも億劫だからね、だからやめにしましょう。」
「一条君!」

二人共…。今まで強力にくっついてもう取れそうにないと諦めていたものが音を立てず溶け落ちたような、そんな嬉しさ。

「へいお待ちー♪」

そんなさなか注文していたラーメンが出来上がり。

「ほら早く食べなよ、冷めちゃうよ…小鳥遊君。」
「ここのラーメン一応美味しい事になってるから、風馬。」
「おいおーいっ!せめて一応美味しい…でいいだろ。」

店主と一条君の間で何があった…。

「その代わりっ!また変な事して若葉を泣かせたら今度は絶対ムショにぶち込むから!」
「う、うん、気を付けるよ…伊吹さん一条さん。」

巴ちゃんの勢いには誰にも敵わないようで…。

「伊吹さんは本当に若葉さんを大事にしてるんですね。」
「おうよっ!こんな可愛い子他に見た事ねぇ。」

何故敬語、しかも若葉さんって。

「あっはは、まるで姑だ。」

思った事を一条君が述べる。

佐伯君の事は何とか忘れずに忘れれそうで、こうして憎み合っていた二人もこうして許し合えるようになった。

「あたる、今頃どうしてるかな。」
「あの人が良い感じで良くしてるって話よ。」
「えっ?」
「今度、僕も行って良いかな?」
「へっ?あたるに小鳥遊君…会いに行くの?やめとき喧嘩になって、…いやまてよ「やめて!私の為に喧嘩しないでぇ!」が見れるかも。」
「巴ちゃん。」

彼女のおとぼけぷりに少し思ったより明るい人だと感じる風馬君。でも何でまた。水族館で「別の男にはどうしても…」って。

「だってさっき一条さんが言ったもの、「憎んでも仕方がない」って。」
「んー、そうだねー人を憎むのって結構辛いからねー。」

確かに一条君は人を憎むタイプじゃないな。

「なら、どうせなら仲良くなった方が良い、その方が僕の為にも若葉ちゃんにも良い事だと思うし…。」
「風馬、君。」
「おー良く言った!頑張れよー色男!」
「はいっ!」

だから何故敬語…。

佐伯君と風馬君が親友に…。

考えただけでも嬉しいな……。

次回、33話に続く。


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