女ノ国-2
ローデシア女国王宮・地下祭礼場
ローデシア女暦1221年。この年18歳になって元服し、ヴァルキリー騎士団へ入団する新騎士への祭礼が行われようとしていた。騎士団はローデシア王族に仕え、近衛・近侍を任務とする栄誉ある立場である。様々な任務をこなす必要性からあらゆる面で優れた若い少女たちが選抜される。
それは兵士・家政婦・秘書と多様な職を兼ねるためであるが、夜の営みをこなし、子を産んで王族の血をつないでいくという国家規模の大事も背負っているからでもある。
今回は6人の選抜された少女達が祭礼場に用意された席に座り緊張した面持ちで王の入場を
待っていた。皆、事前に指示された白のドレスを着用してじっとしている。
周りには少数の警護のための衛士しかいない。もちろん皆黙っていて祭礼場の厳かな雰囲気だ。数段高い祭壇には香が焚かれ、その香のかすかに甘い匂いが漂う。
この6人うちの1人、エイリーマリオットは緊張とは別な感覚に気付いた。呼吸が乱れ、うっすらとドレスには勃起した乳首が浮かび上がっている。股間も濡れてきている。エイリーは体から溢れる性的興奮に驚き、恥、必死で我慢していた。
実は6人全員ドレスの下は何も身に着けていなかった。これも指示のためだった。
焚かれた香に媚薬成分が含まれる。儀礼のために必要なのだ。
興奮はエイリー以外の皆も同じ状態だった。姿勢を乱さず座っていることが精いっぱいのようだ。
「(うう・・・恥ずかしい…)」
エイリーのマリオット家は名家で厳格な教育を彼女に施してきた。この環境で育ったエイリーは騎士団必須の知識としての性知識の習得にも赤面の連続であるほどの箱入り娘であった。
そのうち、祭壇の右脇から騎士が数人人出てきて彼女らの前にたった。
「諸君。私はベルタブリジット。ヴァルキリー騎士団第一衛士だ。よろしく。」
ベルタと名乗った彼女は騎士団トップの立場である。同時にローデシア女国の英雄であった。
国中の憧れが目の間に現れて驚いた少女達にベルタは続けた。
「この度、騎士団に入団する君たちを我々は歓迎する。またこれより国王殿下拝謁の栄誉を賜ることに感謝せよ。以上。」
そういってベルタ達は脇に控える。少しの間があってベルタが「国王殿下のご入場である」
と言って国王が入場してくる。
セリーヌ・ローデシア女王。
ローデシア女国の王であり、国の象徴的存在である。伝わる話では40歳半ばを超えるとも伝わる。が、ローデシア王族は魔力の影響か、実年齢と成長速度に時間が経つほど差が出てくるという。見た目は20歳ほどは若く見える。
艶のあるブロンドがかった長い髪。顔立ちは凛々しさと母性的な兼ね備えた美貌だ。
「みなご苦労である。我が忠烈なる騎士団に新たな者を迎えることを大変うれしく思う。
国家・国民のためにも才能の全力を上げて任務に励んで欲しい」
そういうとセリーヌは静かに笑みを浮かべた。言葉とは裏腹な優しい口調だった。
セリーヌのあいさつの後は儀礼的・事務的な流れで進んでいき、いよいよ式の大詰めを迎えようとしている。
「最後の儀式を行う。これによって諸君らはヴァルキリー騎士となることができる。
また大変な栄誉を授かる。心せよ。」
ベルタの話が終わると、少女達は一旦会場から別室へ通された。
そこは王宮の奥、王族が日常の生活を送る場所の近くの待機室だった。
先導したベルタは別の者に任せて部屋を出ていく。
「(いよいよだわ・・・)」
エイリーの緊張もさらに高まる。
そのうち衛士によってエイリーが一人だけ呼ばれて案内役の衛士についていく。儀式は一人づつ行われる。
奥の奥。いくつもの詰所をぬけた先部屋の前まできた。
「これより殿下自ら儀式を執り行われる。決して無礼のないように心するのだぞ。
また、中にいるベルタ殿の指示をよく聞くように。」
「はい、承知いたしました」
そう答えたエイリーは扉を開けて中へ入っていく。