は-2
「兄貴。僕が紗江子さんを送るから」
「おまえ、ちゃんと帰って来いよ?
送り狼になるなよ?」
「古っっ!いまどきそんな言い回ししないから!」
「いいんだよ!とにかく紗江子は俺の大事な同僚だからな!」
「はいはいはい。兄貴は明日香さんを送ればいいんだよ!
兄貴は逆に帰って来んなよ!
明日香さんをモノにするまで帰るなよ」
「うるせ・・・」
啓と司君の間で そんな会話がされている事は
頭の隅で聞こえていた。
それから私は啓にタクシーに乗せられた。
「明日香。家の説明できる?」
「できましぇん・・・・」
「ほら。しっかりして」
私の酔いは本物だったけど割と意識はしっかりしてた。
伊達にトシを食ってるわけじゃない。
伊達に飲み会の場数を踏んでるわけじゃない。
タクシーの中で軽く寝たら家につくころには
覚醒する自信はあった。