待ち合わせ-4
女の子達を、思い出す。
ちづるは、タクミが女の子達に
話しかけられた時、
もうタクミの姿を確認していた。
北口の、屋外2階の
エントランスホールにつながる
エスカレーターを上がり、
15メートルほど歩くと
コーヒーショップがある。
エスカレーターを上がると、
すぐにタクミが分かった。
タクミは、
コーヒーショップの窓の方を向き、
ちづるに気がついていない様子だ。
すぐに駆け寄ろうとしたが、
女の子達に声を掛けられている。
ちづるは思わず、ビルの柱に身を隠す。
柱の陰からタクミ達の様子を見ていると、どうやらスマホで写真を撮っている様子だった。
ちづるは思う。
もしかして、あれ
タクミ君のファン!!?
追っかけ とか?
追っかけって、今は言わないのかな
親衛隊 ?
いやいや、、、
親衛隊のがもっと古いか
私のお母さん世代の言葉、かも
タクミ君て、、
もしかして、どっかで有名
だったりして
、 、、って、
私 そういう人と
今からデートするの!!?
どーしよう
なんか緊張する
お腹 痛いかも
あ、 れ ??
終わった、、? かな
どーしよう
帰っちゃおうかな
って 駄目だよね
ぁーーー
緊張してきた、 ! 、
タクミは
辺りをキョロキョロと見回している。
ちづるに気がつくと、手を振る。
ちづるも思わず手を振り返すが、
頭の中のパニックは治まらず
独り言のような言葉が頭を埋め尽くす。
タクミの方に向かって歩きだす。
タクミを改めて見る。
スラッとした長身の身体。
黒い髪、整っている顔。
ホワイトベージュのトレンチコート。
カーキ色のパンツ。
男物の茶色いブーツ。
タクミに近づくにつれて、
ちづるは思う。
わぁ、、 なんか
かっこいい
2人でいる時と
違う かも
2人で 居る時 ?
そうだ 私 この人と
半年も一緒に 居たんだ
いつも 何を話してたっけ ?
タクミ君の好きな会話って
どんなだっけ ?
、 、、今日
どこ行くんだっけ?
『年上でしょー?
リードしてーー。』
前にこんな言葉 言われた事
あった気がする
っ、! 、どーしよう、 、
とにかく 普通に
普通に
普通 に っ !
胸がドキドキしていた。
気持ちを落ち着かせる為に、
ちづるは歩調に合わせて頭の中で
「いつも通り いつも通り」と
呪文のように唱えていた。