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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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別れましょう…-1

辺り一面が緑で生い茂げ寒くもなく暑くもない春らしい風が私を包み込む。

「うーん!空気が美味しいねぇー。」
「ほんと、天気も晴れて良かったわ。」

待ちに待った遠足、バスで学校から少し離れた大きい公園へクラス全員で向かい、点呼を
取った後、それぞれの班で色んな場所に向かい。

「こうして二人でピクニックに行くのは何十年ぶりだろう、小学生以来かな。」
「ねー、まさかこうしてまた君と探索する何て夢にも思ってなかったよ。」

一班5人で構成されたのだけど、後の3人が妙な勘違いをして私と風馬君が付き合ってると勘違いし、それぞれ別の用事があると、私と彼を二人きりにさせ。

「こういう所ってやっぱ居るのかな、熊とかリスとか。」
「ふふ、そう思うと楽しいよね、まぁ山じゃあるまいし熊は居ないでしょう。」

他愛もない会話をさっきから吹っかけてくる彼、不意に彼に目をやると。

「あっ、風馬君何か刺されてるよ。」
「え…あぁホントだいつの間に…。」

私が指摘し、彼は腕をあげる、すると案の定腕に虫に刺された跡が。

「さっきから虫が飛んでるなぁーって思ってたけど、こういうのって気づかないよね。」
「ちょっと、良い?」

私はバックを下ろし、中からこんな事もあると思い用意しといた痒み止めの薬を出す。

「いいよっ!大した事ないし。」
「駄目よ、早めに塗っておかないとどんどん腫れていくんだから。」

そう言うと彼は腕を差し出した、じっと視線を向けられ。

「あ、ありがとう。」
「何だか思い出すねこうしてみると子供の頃を。」
「そう?あんまり覚えてないや、君と遠足に行った事は確かに覚えてるけど。」
「よく虫を捕まえたり、狐と遭遇して…。」

お腹空かしてると感じた彼が自分の好物のサンドイッチを惜しげもなく食べさてあげて。

「そんな事もあったね。」
「うん、思い出してきた?」

最初は余計な事をする他の3人に不満を抱いていて、彼とこの森で二人きり何て…って
思ったけど、不思議と嫌な感じはしない、この前のお爺ちゃんの一件もあってか本当に
仲良く、もう学校でも警戒する必要もなくなった感じだ。

「あっ、あそこに小屋みたいなのがある、そろそろお昼にしようか。」
「うん、僕もうお腹ぺっこぺこだよっ!」

それを聞き、心躍る私、何故ならば今朝一杯お弁当を作ってきたのだ、班長も務める私は
皆の分を用意したのだが、急遽二人になってしまったが。

「うわぁー!」
「うふふ。」

蓋を開け、色とりどりのサンドイッチに目をキラキラと輝かせる風馬君、朝早く起きた
疲労が一気に消えた気分だ。

「好きなだけどうぞ。」
「いいの、本当に?」
「うん!本当は5人分作ったんだけど急に二人分になっちゃったし、余っても困るし私
一人じゃ食べきれないし。」

それを聞き、遠慮なくサンドイッチを手に取る彼。無邪気な笑顔で頬張る…。

彼の顔を佐伯君の顔を不意に重ね合わせる。

「?どうしたの、ほらっ!君も食べなよ。」
「あっうん!」

私に佐伯君と言う恋人が居なかったら…どうして私は彼に恋をしてからこの子が転校して
来たんだろう…。

運命をちょっぴり呪う。

「若葉ちゃん?」
「……あっうん、あらほっぺについてるよ。」
「ホントだ。」

周りから見たら本当にカップルに見えるんだろうな。

彼を見つめている内に許されない感情が容赦なく広がっていく。

「お茶御代わりいる?」
「うん!」

やめて、そんな可愛らしい笑顔を私に向けないで。

浮気何てしたくない。

すると彼が不意に言い出す。

「…彼とは今どうしてる?」
「っ!…えっ、その。」

お茶を一飲みし、ポツリと言い出す風馬君。不意を突かれたけどお陰で正気に戻れた気がした…、そうだ私には佐伯君と言う遠距離の恋人が居て、今横に居る子はただの幼馴染であって。

「どうしてそんな事聞くの?」

その質問には一切口を開かず。

「…上手くやってるよ、それゃ青森に居るから直接は会えないけど、でもっ!電話してるよ!それもほぼ毎日。」

見栄張って大嘘をついてしまった、でも最近会話してない何て風馬君の前じゃ言いたくないし…。

「何でそんな事聞くのかって言ったね。」
「えっ、…うん、少し驚いたよ。」
「君が、心配なんだよ。」
「心配?」

そう聞き返すと、彼はお茶を再び一飲みし。

「正直僕には分かんないよ、あんな人の何処が良いのか。」
「風馬、君。」
「でも、君にとっては大好きな彼氏、だもんね。」
「そうだよ、彼は優しくて無邪気で。」
「だから、君を幸せに出来るのは僕じゃなくて彼、何だって。」
「……。」

暗い影を顔に写し無意味に空になったランチパックに視線を下ろす。

「そりゃー君の事完全に諦めきれた、と言えば嘘になる、でも努力はする!」

今度は真剣で真っすぐな瞳で私を見つめ、言い放つ。

「だから、これだけは言わせて欲しい。」
「……。」

だぁーい好きだよっ!子供の頃から…ドーナツが好きで少しおっちょこちょいでそれでも
他人の幸せを自分の事のように喜ぶ、そんな柊若葉ちゃんが…。

これ以上にないくらい眩い笑顔で自分の想いを力一杯にぶつける。

「……。」
「………。」

全て出し切ったような顔。

「ゴメン、なさい。」
「っ!!」
「好きになれなくて、御免なさいっ!」
「若葉、ちゃん。」

それから私はお弁当を素早く片付け用事を思い出したと逃げるようにその場を立ち去る。

これ以上付き合ったら、私本当に風馬君の事を…。




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