別れましょう…-4
放課後の人気の無い公園、私は風馬君を呼び出した…。
「……若葉ちゃん、今何て?」
聞こえては居る、でもあまりに予想外の言葉に耳を疑い。
「私、嘘ついてた…佐伯君と毎日楽しく電話してた、だなんて。」
「……やっぱりか。」
「知ってたの?」
「ううん、でも君嘘つくときすぐ顔に出るから、それも辛そうに。」
やっぱり幼馴染かぁ。
そしてこれまでの経緯を全て打ち明けて。
「……そっかぁー、家族思いで優しい彼の、気持ちを尊重して。」
「……。」
彼はそんな私にポンッと頭を撫で。
「君らしい、選択だね。」
「風馬、君。」
「…本当に、僕で良いの?」
「うん、最初は君だけは絶対にないって思ってたけど。」
この際例の騒動は一切なかった事に。
「僕、ストーカーなんだよ。」
「何いってるのよ、それは元…でしょ?今は心優しい私の大好きな幼馴染、いや幼馴染で私の恋人の小鳥遊風馬君、だよ。」
「っ!……。」
それを聞いて目を見開き、そして私を非力な彼とは思えないほどに強く抱きしめ。
「ありがとうっ!本当にっ!」
「風馬、君。」
「ずっと、ずっとこうなる事を望んでたんだっ!」
「私も!貴方となら。」
「大事にするっ!君の事必ず幸せにして見せるっ!」
私今とっても幸せ…。
これから私は大好きな風馬君と共に過ごす。
天にも昇るような幸福とはこの事だろうか。
でもその影で今の私たちの光景、この事実に大きな不幸をショックを味わった一人の少女の悲痛な視線に気づく事はなかった。
「柊さん、どうして?…。」
次回、32話に続く。