投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

義母と、違和感と、同級生と
【寝とり/寝取られ 官能小説】

義母と、違和感と、同級生との最初へ 義母と、違和感と、同級生と 11 義母と、違和感と、同級生と 13 義母と、違和感と、同級生との最後へ

義母と、違和感と、同級生と-12


          *       *       *

「……」
 貴洋は通りすがりの公園に足を踏み入れると、手近なベンチに腰を下ろす。
 もう、謙吉の家に戻る気にはなれなかった。
 今さら戻ってみたところで、仲睦まじい二人の秘め事を延々と見せつけられるだけだろう。
そんなことには、もう何の興味も意味もなかった。
「くっ……」
 足が地面に引きつけられ、尻が吸盤にでもなったようにべったりとベンチに張りつく。突然、
世界の重力が三倍になったような気がした。
「かあ、さん……」
 背中が曲がり、頭が垂れて、口からたった一言、呟きが落ちる。
 義母には義母の人生があるし、謙吉だって相手としては悪くない。この程度の年の差婚など
最近ではよくある部類だし、息子の自分から見ても亜矢は年齢よりずっと若い。釣り合いとか
そんなことは、別段気に病む必要もないだろう。
 何より、二人は愛し合っているのだ。
 真剣に将来を見据え、ともに支え合い、同じ道程を歩んでいくことを心に決めているのだ。
その証として、既に子供までもうけているのだ。
 そして、いつまでも亡くなった父にとらわれず、亜矢が新しい未来を手にすることは、貴洋
自身が長く望んできたことでもある。
 誰にとっても、悪い話ではなかった。
 何の問題も、ないはずだった。
 なのに。

 ――この感情は、一体何だ――

「……」
 いつの間にか、随分と長い時間が経っていた。
「ああ、そうだ……」
 半死半生のような顔でそう言うと、貴洋はふらりとベンチから立ち上がる。
「線香、買いに行かなきゃ……」
 ぽつりと呟くと、周囲の子供達が向ける訝しげな目線など気にもせず、力ない足取りで歩き
始めた。
「それから――」
 晩飯も買わないと、の一言は、口の中でもごもごと消えて言葉にならない。
「……」
 入れ替わり立ち替わり地面を蹴る自らの足をぼんやり視界に収めながら、貴洋はただ黙々と
駅に向けて歩を進めた。
 額から流れ落ちるのは、一筋の汗。
「くっ……」
 身体が重い。
 足が進まない。
 この道が永遠に続いて、どこにも辿り着けないような気がする。
「……くそっ」
 貴洋は立ち止まり、後ろを振り返った。
「……」
 火照ったアスファルトの上では、暮れゆく夏の夕陽が生み出した貴洋の影が、いびつな形で
ぐにゃぐにゃと不気味なダンスを踊っている。
「……」
 しばし、睨み合った末に。
「……ぺっ」
 その黒く大きな塊に唾を一つ吐きつけると、貴洋はまた前を向いて、鉛のような全身を引き
ずりながら、ゆっくりと歩き始めるのであった。


義母と、違和感と、同級生との最初へ 義母と、違和感と、同級生と 11 義母と、違和感と、同級生と 13 義母と、違和感と、同級生との最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前