美しい親子愛!! セーガン博士の特攻作戦!!-2
貴子『アクメエネルギーは本当にあるんです!! 私、実験で200回以上性交しました!!』
記者会見でのこの衝撃発言は様々なメディアに取り上げられ、その年の流行語となった。
しかし第三者機関による再現実験ではアクメエネルギーの存在を立証することが出来ず、直後に彼女とその上司である主任教授との不倫関係がスクープされてしまう。
そして彼女はスキャンダルにまみれて懲戒免職、学会から消えていった。
その後彼女はTVのバラエティ番組に出たり、ヌード写真を発表したりしてタレント化してしまい、学会では決して触れてはならない黒歴史となったのだ。
そのアクメエネルギーが本当に存在するだと…?!?!
今まで順風満帆に政治家人生を歩み、栄光の総理の座に就いた途端に異星人の侵略だ。
国民は騒いで治安は悪くなる、無事な日本を頼って難民は押し寄せてくる、こんな事態になったのも宇宙開発を怠ってきた与党の責任だと野党は騒ぎ立てる、与党内でもこの機に乗じて派閥抗争が激化するなど政権運営に苦労しているのだ。
国内問題だけでも手一杯なのに、今度は宇宙人がやってきて得体のしれない設計図を持ってくる。
しかもそれがアダルトグッズ以上の性感刺激マシンで…などというトンデモ話なのだ。
こんな話を真に受けて量産化を引き受けても、事実を公表してエンジンとなる女性をどうやって集めるというのか?
まさか強制連行も出来まい。そんなことしたら女性の権利を求める活動家や人権団体が黙っていない。
正直、彼は困り切っていた。
セーガン博士「アメリカやロシアや中国の指導者たちは地下活動を続けながら、私たちのレジスタンス組織『マギザール』に全面協力を申し出てくれているのですぞ! 大規模な反抗作戦はもうすぐです!! 唯一大きな被害を免れた日本がそんな及び腰でどうするのですか!! もし日本抜きで我々が侵略軍を撃退した暁には日本は国際社会から仲間外れにされてしまいますぞ!! ワーイ・ジャパニーズ・ピーポー?!」
大泉「は、はい…。よく検討させていただきます。しかしこれは何分、重大な問題でありまして…。緊急内閣会議を開いてよく話し合いたいと思います。今日のところはどうかひとつ、お引き取り願えないでしょうか?」
セーガン博士「………」
大泉総理の煮え切らない態度を見て、セーガン博士は軽く失望していた。
今こそ地球を守るために立ち上がろうという時に、日本人は一体どこまで平和ボケしているというのだ?!
セーガン博士「そうそう、アクメ・リアクターから供給するエネルギーで敵を破壊する新型ミサイル『TS−1』の設計図もお渡ししておきます。これならアクメロボや戦闘機と違い、短期間に量産が可能でしょう」
そう言ってセーガン博士は席を立つと部屋を出ていった。
大泉「…ふ―――っ…」
執務室の応接セットに腰かけて、大泉はため息をついた。
これから非常に難しい政治的決断を下さねばならない。
秘書官「総理、五菱重工に依頼して一刻も早くアクメ・リアクターの製造を開始しましょう!!」
大泉「しかし、このマシンの機能をどうやって説明する? 国会はどう乗り切る? さらに動力源となる女性をどうやって調達するのだ?!」
秘書官「この期に及んで閣議など行う時間はありません! 事後承諾ということで極秘に進めていきましょう! 動力源の調達方法については、私に腹案があります」
大泉「何…っ?」
秘書官「まず有給で釣って、極秘に婦人自衛官や婦人警官の中から志願者を募ります。そしてAV業界に働きかけて事務所に女優を回してもらいます。そして起動中のアクメリ・アクター内を撮影してリリースすることを許可し、国から助成金を出します。それでも足りなければ、難民指定を待つ女性難民の中から選抜しましょう!」
大泉「…………」
秘書官「日本が地球の危機を救えるかどうかは総理の双肩にかかっているのです! 未曽有の危機から国民を救った英雄として称賛され、末代まで名を残すか? 女性蔑視のセクハラ総理としてスキャンダルまみれで退陣するか? こうなったら一か八かです! 潔く政治家生命を賭けましょう!!」
大泉「…うむ。世界の中心で平和を叫ぶのはこの俺だ!!!」
こうして彼の腹は決まった。
彼が尊敬するJ.F.ケネディも言っている。『意志あるところに道はある』と…。
巨大な岩が今、動こうとしていた。