言-3
シンッ―――となった部内は、誰かが口を開くのを待っていた。
「あ・・のっ」
言葉にならない声が真実ちゃんの口から飛び出て
「これとペアだっただろ?」
さらに直哉がニヤッと笑いながら真実ちゃんに見せる。
「は・・・い」
驚いてそれだけ言うのがやっとの真実ちゃんに
「散々どのデザインが良いか迷ったからな。
素敵って言ってもらえて嬉しいよ」
「・・・・」
部内の全員が直哉の一言ももらすまいと聞いている。
「あの!でも伊藤さんの彼氏は遠距離だって」
真実ちゃんが、思い出したように言えば
「意外に近かったね」
と直哉が笑いだす。
「伊藤さんの彼氏は甲斐性がないって」
「俺、ないのかも」
そう言って笑いながら、「な?」なんて私に笑いかける。
「伊藤さんがいないと、ダメな男だって」
「うん。俺、葵がいないとダメなんだよ」
そこまで何もかもに返事しなくていいってば・・・